唐津くんち、輪島塗で修復 曳山の「鯱」31年ぶり 職人滞在「誇れるものに」

佐賀県唐津市が誇る国の重要無形民俗文化財「唐津くんちの曳山(ひきやま)行事」(ユネスコの無形文化遺産)の主役となる14台の曳山(やま)のうち、13番曳山水主(かこ)町「鯱(しゃち)」の保存・修復作業が、同市北城内の「曳山の蔵」(西ノ門館)で進められている。石川県輪島市の輪島塗職人が滞在して作業にあたる。「鯱」の修復は31年ぶり4回目。
「鯱」は1876年製作。1930年の1回目修復の時に、製作時に完成を急いだため紙貼りや漆塗りが薄く、他の曳山と比べて大きく家屋の軒先などに接触することも多かったことなどを理由に、造り替えた経緯がある。その後、66年と88年に修復している。
今回の修復は、昨年5月に開いた唐津曳山保存検討審議会で決まった。事業費は約5300万円で国や県、市、水主町が負担する。今年の唐津くんち終了翌日の11月5日に曳山の蔵に搬入された。
請け負うのは輪島市の田谷漆器店で曳山の修復は初めて。鯱は台車を含めた最大高6・5メートル、長さ4・6メートル、重さ2・2トン。本体からひれ4枚、ひげ2本、舌1枚を外して作業をする。現在は塗師2~3人が紙やすりなどで、漆の層を研いで落としていく「かき落とし」など、週6日作業にあたる。今後の工程の予定は、補修をしてから下地を整え、中塗り、上塗り、箔(はく)押し。来年9月上旬の完成を見込む。
月に一度は管理業務のため唐津を訪れる田谷漆器店10代目の田谷昂大(たかひろ)さん(28)=曳山鯱修復管理責任者=は「小さい子が大人になった時に誇れる『鯱』になるよう職員を派遣している」と意気込み、水主町町内会長で保存修復事業実行委員会委員長の古瀬俊明さん(66)は「輪島の技術で修復してもらい、それが将来の世代に引き継がれるようにしてほしい」と話した。【原田哲郎】