筑波大学の研究グループは、南太平洋のパラオ共和国の海水から、細菌なのに活発に運動しながら、ほかの細菌や小型の生物を丸のみして食べてしまう新種のバクテリア(細菌)を発見した!
パラオの神話に出てくる大食いの巨人にちなんで、「ウアブ」と命名した。
地球上の生物は、細胞の構造や大きさによって、原始的な「真正細菌」「古細菌」から「真核生物」までの3つに分類される。
人間や動物が属する「真核生物」は、ほかの2種に比べて巨大な細胞を持ち、内部に備わっているさまざまな器官や骨格によって、ほかの生物や粒子を自身の細胞に取り込むことができる。
これを「ファゴサイトーシス(食作用)」といい、その代表は白血球が病原体を除去する免疫機能として知られるが、生物がどうやってこの機能を獲得し、複雑な進化を遂げたのかは最大の謎だった。
筑波大の石田健一郎教授らのグループが、パラオの海水から見つけた「ウアブ」は、真正細菌であるにもかかわらず、細胞が直径約5マイクロメートル(1μm=0.001mm)と真核生物並みに大きく、クネクネと柔軟に変形しながら動き回り、ほかの真正細菌や小型の生物に近づいてパクっと丸のみするという。
捕食行動を電子顕微鏡で観察したところ、真核生物と同じように、丸のみされた生物は消化器官に取り込まれて、分解することが判明。さらに細胞には、真核生物のように発達した繊維状の構造があることもつきとめた。
ウアブがどうやって真核生物のような機能を獲得したのか調べようと、ゲノム解析を行った結果、塩基対の数は約960万、遺伝子は6600個存在することが判明。真正細菌としては比較的大きいが、予想に反して、真核生物のファゴサイトーシスに関する遺伝子が見つからなかったことから、独自に進化して真核生物のような特徴を獲得した可能性が高いと結論づけた。
これまで、真核生物以外で、このような捕食行動を取る細菌は見つかっていないことから、ウアブがどのようにしてこれらの特徴を獲得したかをについて研究を重ねることが、生物誕生の謎に迫るヒントにつながるとして期待を寄せている。なおこの研究成果は、科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に11日付で掲載された。