地元に愛着や誇りを持ってもらおうと、茨城県つくばみらい市が市民を対象としたキャンペーンを展開している。つくばエクスプレス(TX)沿線の同市は、交通の利便性を背景に人口が増えているが「地元愛が弱い」と分析。まずは市民がモデルのポスターを製作し、地元愛の醸成を図っている。【宮田哲】
地方の自治体のキャンペーンは、移住者増を狙って市外に広くPRするのが一般的だ。つくばみらい市も従来は東京圏を対象に、交通の利便性や住環境の豊かさを訴えてきた。
今回は「市民自らが市を好きにならなければ、市外の人たちも好きになってくれるはずがない」との考えから、市民向けの訴えに重点を移した。スローガンは「I LIVE IN TSUKUBAMIRAI.」(私はつくばみらいに住んでいる)とした。
同市の玄関口であるTXみらい平駅からは、区間快速に乗車すれば終点の秋葉原駅まで約40分。みらい平駅近くには新しいマンションや住宅が建ち並び、同市は県内の自治体では珍しく、人口増が続いている。
ところが、キャンペーンを紹介した今月の市の広報紙は、現在の成長は市内を通るTXがもたらした「特需景気のようなもの」で「大都市に依存した成長である」と指摘。「利便性以外の取り柄(え)が少ない」「身内からの愛が薄い街」と言い切っている。
辛口の指摘は、キャンペーン担当者の実感とも重なる。昨年度、市の新たなPR策を考えようと、市の魅力についてインタビューしたが、即答できない市民が多かった。「この街を愛しているなら小さなことでも挙げてくれるはず。愛着が薄いのではないか」と感じたという。
市が製作したポスターには、100人以上の市民がモデルとして登場。生き生きとした表情やスローガンを目にした人たちが、この街の住民であることを再認識し、市に関心を持ってもらう狙いがあるという。
キャンペーンは11月に開始。300枚以上のポスターを関東鉄道常総線の4駅や車両内に張った。常総線での掲示は終わったが、市がSNS(ネット交流サービス)上に持つ公式アカウントで、来年2月初旬まで1日1種類ずつ紹介している。
ポスターの実物は市総合福祉施設「きらくやまふれあいの丘」にある「すこやか福祉館」で展示している。一部は市役所にも張っている。
次はキャンペーンの一環で、職員自らが市の良さを再認識するための研修会を開く。来年度は、市民と職員が市の将来を語り合う会合を検討している。
昨年就任した小田川浩市長も、地元愛の弱さを感じていたという。「おいしい米が取れることなど市の良さを知ってもらいたい。市民が周囲に魅力を語ってくれれば、一番のPRになる」と考えている。