「暗黒銀河」を探せ 南極に電波望遠鏡建設計画 関西学院大など

いまだに確認されていない数多くの銀河を見つけ出そうと、関西学院大を中心とするグループ「南極天文コンソーシアム」が、南極に口径10メートルの電波望遠鏡を建設する計画を進めている。南極は、観測の妨げになる大気中の水蒸気が極めて少ないなどの好条件に恵まれており、未知の銀河から生命の起源や進化を探ることができる。関学大は関西発の次世代望遠鏡を実現しようと、来年1月から5年間で、開発研究費として20億円の寄付金を募る。【渡辺諒】
宇宙は、約138億年前のビッグバンによって生まれたとされる。既存の光学望遠鏡で観測できる太陽系の惑星などは、約130億年前以降に形成された。一方で、こうした惑星や生命の起源となった初期の銀河は、約130億年より前に誕生したと考えられている。しかし、初期銀河には暗いものが多く、理論上存在すると予測されている数の3割ほどしか見つかっていない。7割は行方不明の「暗黒銀河」と呼ばれている。
そこで計画では、南極の標高3800メートル地点にある日本の基地「新ドームふじ」に、可視光を捉えるのではなく、暗黒銀河を構成する固体微粒子が出す、より波長の長い電波を捉える望遠鏡を設置する。この電波は大気中の水蒸気に吸収されるため、南極以外では観測が難しい。新ドームふじ周辺は、標高が高くて空気が薄いことに加え、季節を通じて乾燥し、晴天率も高く、地上で最も観測に適した場所とされている。
また、今回の望遠鏡の特徴の一つが、視野の広さだ。口径10メートルのアンテナはパラボラ型ではなく、中心から離れたところでも精度高く電波を捉えられる双曲面型を予定する。チリのアタカマ砂漠に設置されているアルマ電波望遠鏡の100倍以上の世界最大の視野が確保でき、銀河を探し出す能力が高いという。関学大の中井直正教授(電波天文学)は「ライバルとなる米国や中国が既に設置しているが、条件などからまだ満足な観測にはなっていない」と強調する。
一方、南極という過酷な環境にも耐える建設資材の開発は、大阪市に本社を置く大手建設会社が手がける。氷点下80度にもなる過酷な環境に耐える特殊な鋼材を試作している。設置予定の地面は、雪が100メートル、その下に氷が3000メートル存在する。雪に圧力をかけて固めてから建設する予定だが、土台が傾くことも予想される。このため、土台にジャッキアップのシステムを組み込むなどの工夫をするという。
中井教授は「募金は一般の人や関学の卒業生、企業など広くお願いしていく。これだけ大きな望遠鏡プロジェクトは関西では初めてで、実現させたい」と意気込んでいる。