睡眠導入剤で事故死誘導、元准看護師への1審判決破棄…審理差し戻し

千葉県印西市の老人ホームで2017年、同僚に睡眠導入剤を飲ませ、計6人を交通事故などで殺傷したとして、殺人や殺人未遂罪などに問われた同施設の元准看護師、波田野愛子被告(73)に対し、東京高裁は17日、懲役24年とした1審・千葉地裁の裁判員裁判判決を破棄し、同地裁に審理を差し戻す判決を言い渡した。
朝山芳史裁判長は、睡眠導入剤を飲まされた同僚らへの殺人や殺人未遂罪の成立を認めた一方、事故に巻き込まれて負傷した2人に対する殺意を否定。差し戻し審で、傷害罪にあたるかどうか審理するよう求めた。
昨年12月の1審判決は、波田野被告が17年2月、同僚の山岡恵子さん(当時60歳)に睡眠導入剤を混ぜた飲み物を飲ませた上、休んでいた山岡さんを起こして車で帰宅するよう仕向け、同市内で別の車と衝突する事故を起こさせて殺害したと判断。同年5月と6月にも同様の手口で同僚に交通事故を起こさせるなどし、事故相手を含む5人にけがや意識障害を負わせたとした上で、いずれの事件も同僚らへの反感や不満などが動機だったと認定していた。
波田野被告側は公判で同僚らへの睡眠導入剤の混入を認めた一方、「嫌がらせをしようとしただけだ」と殺意を否定。運転前の山岡さんにふらつきなどはなく、人が死亡するとの認識はなかったなどとして、殺人と殺人未遂罪について無罪を主張していた。
今年10月に開かれた控訴審第1回公判で、被告側は1審と同様、「車を運転しても事故が起きるとは限らず、殺人の実行行為とするのは無理がある」などと主張。これに対し、検察側は「薬の効果により意識がはっきりしない状態で運転した場合、運転者や同乗者に危険が及ぶのは容易に想定できる」と反論していた。