日米共用施設でゴケグモ類発見 1カ月以上報告せず 米軍岩国基地

特定外来生物に指定されているゴケグモ類が米軍岩国基地(山口県岩国市)で繁殖している問題で、基地から5キロ離れた市内の日米共用施設「愛宕スポーツコンプレックス」で10月、ゴケグモ類が初めて見つかった。米軍関係者が発見したが、市や県への通報は1カ月以上も遅れた。施設は防衛省が建設して米軍に提供されているが、一部は市が管理し一般市民も利用している。基地側は、米軍が管理する部分で見つかったとして、市や県への通報は不要と判断していた。
市によると、基地関係者が10月4日、施設内のロータスカルチャーセンター入り口の外側で、クロゴケグモのメス成体1匹の死がいを見つけた。連絡を受けた基地の虫疫班が出動して駆除した。虫疫班は当日と約1週間後、約2週間後の計3回、カルチャーセンター内、周辺の駐車場、陸上競技場の外周などを見回ったが、新たな発見はなく調査を打ち切った。
一方、県と市の担当者は11月22日、基地であったゴケグモ類の駆除状況報告会議で初めて知った。会議は約3カ月ごとにあり、市と県は開催の度に、特定外来生物被害防止法に基づき、基地内での完全駆除に加え、基地外に出る恐れのあるケースについて速やかに通報するよう要請してきた。ところが、基地側は、発見場所が米軍の管理にあるとの理由で、市や県への通報は不要と判断した。また、侵入経路は、基地から運ばれた可能性も含めて不明としている。
県と市に報告があるまでの間、カルチャーセンターでは市心身障害者体育大会など住民参加の催しが開かれていた。
市は報告を受けた当日、注意喚起のチラシをカルチャーセンターや陸上競技場などに張り出した。しかし、12月に陸上競技場であったスポーツイベントに参加した50代主婦は「発見場所近くを毒グモが見つかったと知らずに走った。子供もバレーボールでカルチャーセンターを利用する」と不安を隠さない。
住民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の久米慶典顧問は「子供やお年寄り、身障者の人も出入りする施設でゴケグモが出た。近くに病院もある。すぐに米軍が岩国市に通報し、市も病院や周辺住民に注意喚起するように対応すべきだ。米軍と市、県が協力して侵入経路を調べて、市民に結果を公表してほしい」と話した。【古賀亮至】