寝屋川中1殺害 控訴取り下げは無効 大阪高裁決定

大阪府寝屋川市の中1男女殺害事件で、控訴を取り下げて死刑判決がいったん確定した山田浩二死刑囚(49)について、大阪高裁(村山浩昭裁判長)は17日、「山田死刑囚は結果を明確に意識していなかった疑いがある」として、取り下げを無効とする決定を出した。弁護人が取り下げの無効を申し立てていた。高裁の決定が確定すれば控訴審が再開する。控訴を取り下げて死刑が確定した後、その有効性が争われ、無効と判断されるのは極めて異例だ。
山田被告は裁判員裁判の1審・大阪地裁(昨年12月)で、求刑通り死刑判決を受けた。控訴して大阪拘置所(大阪市)に収容されていたが、今年5月18日に自ら控訴を取り下げた。これに対し、弁護人は山田被告が精神障害の影響を受け、取り下げの結果を理解したり自己の権利を守ったりする能力が欠けていたとして、取り下げを無効にするよう同30日に申し立てていた。
山田被告は控訴取り下げ後の毎日新聞の取材に対し、ボールペンの返却を巡って刑務官に怒られ、衝動的に控訴を取り下げたと説明。後悔した様子も見せていた。
村山裁判長は今回の決定で、被告には精神障害の影響や、死刑判決の重圧による変調はみられないと判断。「自己の権利を守る能力が著しく制約されていたとは言えない」とした。
その一方で、ペンの返却を巡って自暴自棄になったとする経緯については「あまりに軽率」「常識では考えがたい」と指摘。被告には死刑判決を受け入れようとする心情が全く見受けられないとした。

さらに、死刑が「人間の存在を奪う究極の刑罰」であり、上訴権が軽率な判断で放棄されないよう定めた刑事訴訟法の規定を重視。「被告の不服に耳を貸さず、直ちに判決を確定させることには強い違和感とためらいを覚える」として、今回に限って控訴審を再開すべきだと結論づけた。
大阪高検は、不服申し立てを検討するとみられる。畝本毅・高検次席検事は「予想外の決定だ。上級庁と協議して適切に対応する」とのコメントを出した。
1審判決によると、山田被告は2015年8月、星野凌斗(りょうと)さん(当時12歳)と平田奈津美さん(同13歳)の首を圧迫するなどして殺害した。殺害の動機や詳しい経緯は公判で解明されなかった。【村松洋、戸上文恵】