大学入学共通テストは、英語民間試験に続き国語と数学の記述式問題も、土壇場で導入が見送られる事態となった。「知識偏重の1点刻み」からの脱却を旗印に、足かけ6年にわたった入試制度改革は事実上白紙に戻り、文部科学省は萩生田光一文科相の下に設ける検討会議で制度面の抜本的な再構築に乗り出すが、前途は多難だ。
「大きな目玉を失った。これではマイナーチェンジだ」。文科省の担当者は記述式問題も見送られたことに失望感を示した。
現行の大学入試センター試験を廃止して新たに実施する共通テストは、知識や技能だけでなく、「思考力・判断力・表現力」を問うのが狙い。マークシート式も、学習内容を日常生活と関連させる出題や、提示された複数の資料から情報を読み取る出題などに変わる。
グローバル化や少子高齢化が進展する中、社会で活躍する人材の育成に向け、受験生の意欲や適性など人物本位で評価するために、政府の教育再生実行会議は2013年、「1点刻みの選抜からの脱却」を目指して新テストを提言。14年には中央教育審議会の答申に英語4技能を測る民間試験の活用と記述式導入が盛り込まれた。
その後、当初検討された入試の年複数回実施が見送られ、1点刻みの評価も継続となった。さらに、民間試験をめぐって経済的な状況や居住地域による受験機会の格差などの懸念が続出。文科省などは、記述式問題の採点時間を稼ぐため、共通テストを1月上旬や12月に前倒しすることの検討も含め、ぎりぎりまで実施を模索したが、最終的に撤回に追い込まれた。
萩生田文科相は「改革の中で英語の4技能評価や、記述式問題が果たす役割が大きいことに変わりはない」として、思考力などを問う方向性を堅持しつつ、共通テストを含め新たな入試制度の検討に着手する。ただ、50万人の受験生の資質を一律に見極める妙案はなく、省内からは「共通テストで記述式問題は難しい」「個別試験で記述式問題を導入する私立大にインセンティブ(動機付け)を与える必要もある」との声も出ている。