クラウド会計ソフトを提供するfreeeが12月17日、東証マザーズに上場した。公開価格は2000円で、2500円の初値がつき、時価総額は約1200億円となった。
今回の株式公開は、海外の投資家に対しても売出しを行うグローバルIPOとなる。海外比率は7割に及び、「北米を中心とした機関投資家はSaaSをよく理解している。SaaS企業としては初めてのグローバルIPOだ」(freee)と話した。
第2ステップは取引プラットフォーム、第3ステップは金融サービス
現在、freeeはクラウド会計ソフト(ERP)が主要プロダクトだ。単なる会計ソフトではなく、企業が行わなければいけない請求書発行や請求への支払いなど、会計周りのさまざまな業務を支援する機能を持つ。
次に目指すビジョンとして、佐々木大輔社長は取引プラットフォームを挙げた。「社外も含めた効率化、自動化を実現していきたい」。現在、会計と人事労務を中心に業務効率化と経営の可視化の提供を目指しているが、その効果を社外にも広げていく。freeeはAPIを公開しており、連携するアプリのマーケットプレイス「freeeアプリストア」も提供している。
第3段階目は、金融サービスの提供だ。freeeの中に入っているデータを活用して、業務課題の解決案の提示を目指す。すでにfreee内のデータを元に、顧客が受けられるであろう融資額を提供する「資金繰り改善ナビ」という機能も提供している。「将来的には人工知能CFOだ。あらゆるビジネスの経営課題にアドバイスし、場合によっては意思決定の一部を任せられる。そんな世界を作っていきたい」(佐々木氏)
サブスクリプションビジネスは、期間損益ではなく「顧客あたりの収益性」
freeeの直近の業績は営業損失28億3000万円。2020年7-6月期も、28億7600万円の赤字を見込む。いわゆる赤字上場となるが、サブスクリプションモデルの業績は、顧客1社あたりの収益性で見ることが重要だと話す。
継続して顧客が使い続ける限り収入が生まれてくるサブスクリプションモデルは、顧客獲得コストを将来のサブスクリプション収入で回収し、利益を積み上げる事業モデルだ。「顧客1社あたりの収益性が重要。ユニットエコノミクスとして、獲得コストに対して、どれだけの生涯価値(LTV)が生まれるのかを重視している。これが積み上がっていくと、期間損益で見た場合の収益性も改善していく」。会計期間の損益ではなく、顧客あたりの収益性に規律をもってビジネスをやっていく方針だ。
freeeは、クラウド会計ソフトの中で55%という圧倒的なシェアを持っていると同社。国内の市場を見ると、企業の54%が何らかの会計ソフトを使っているが、そのうちのクラウド会計ソフトは14.5%に過ぎない。そして、設立1年以内の若い会社は半分以上がクラウド会計を使っていると、佐々木氏は市場のポテンシャルを強調した。
今回上場で得た120億円の資金は、「クラウドERPの開発と、それを中小企業の皆さまに使ってもらうための営業、マーケティングに使っていく」とした。