米グーグルの共同創業者ラリー・ペイジ氏(46)、セルゲイ・ブリン氏(46)の2人は、12月3日、それぞれ親会社アルファベットの最高経営責任者(CEO)、社長を退任するとブログで発表した。今後はグーグルCEOのサンダー・ピチャイ氏がアルファベットのCEOを兼任する。
2人はアルファベットの取締役にとどまり、合わせて51%の議決権も手放さない。自分たちは姿を見せず、新CEOのビチャイ氏を隠れ蓑にするのではないかという憶測も飛び交う。
両氏は1998年にカリフォルニア州にある友人宅のガレージでグーグルを創業。ITブームに乗り急成長を果たし、検索エンジンとして9割近いシェアを獲得。近年ではインターネット事業の枠を超え、自動運転技術などにも進出。現在の時価総額は8630億ドル。世界有数の企業のトップに立った2人の総資産は、それぞれ約5兆4000億円に達している。
数年前から、経営の現場から距離を置いていた2人は、株主総会などにも顔を見せておらず、退任に驚かない投資家は多い。
「人間に喩えると、2019年のグーグルは21歳の若者であり、巣から飛び立つ時期」
2人は共同声明で退任理由をそう説明するが、実際には追い込まれた節があるという。
今年初めに欧州委員会からあわせて17億ドルの罰金を徴収されたグーグルは、独禁法違反の調査や従業員との雇用問題などを抱え、創業以来、最大の危機に直面していた。アルファベットの社員からも、「沈み行く船を放り出した」などの声が噴出している。
そして来るべき次期大統領選に向け、ワシントンにおける逆風を指摘する向きもある。
民主党大統領選候補であるエリザベス・ウォーレンは退任を受け、昨年議会の証言を拒否したペイジ氏を名指しでツイート。
〈議会での証言はして頂きます。議決権を持ったまま、役職名を変えただけで責任転嫁できると勘違いしないでください〉
今年8月には、グーグルのシニア・ソフトウェアエンジニアが保守系サイトに「グーグルは検索結果を操作していた」と内部告発を行なった。
このリークを受け、わが意を得たりとばかりにトランプ大統領はツイッターに次のように投稿している。
〈グーグルが2016年の選挙結果を操作していた。それが無ければ自分は大差で勝利できていた。グーグルは告訴されるべきだ〉
グーグルを目の敵にしてきたトランプだが、2人の退任をめぐっては不気味な沈黙を保っている。
(近藤 奈香/週刊文春 2019年12月19日号)