投資計画見通し甘く 組織統治にも緩み 農水官民ファンド「A-FIVE」解散へ

早期の解散に追い込まれた農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)。その背景には、投資計画の見通しの甘さと機構内部のガバナンス(組織統治)の緩みがある。
機構は当初、各地の地銀などと作る投資組合と共に優良案件が掘り起こせると考えたが、実際には間接投資に限った平均額は1件当たり3500万円と想定の3割程度だった。年200件の見込み件数も、今年3月末までの6年で126件にとどまった。頼みの綱だった投資組合は53組合が作られたが、投資先が見つからずに8組合が投資ゼロのまま解散するなど既に計10組合が消えた。
総務省行政評価局が今年3月に公表した6次産業化推進に関する政策評価では、投資組合が投資しようとする際の機構の審査に「最長1年を要した」とする回答が組合から上がっていた。機動性に欠け、「主体的な投資決定ができない」とする声もあり、機構の投資事務が組合の足かせになっていた可能性がある。
ガバナンスの緩みでは、機構の発足当初から専務だった男性の振る舞いが国会でも問題になった。この元専務は貿易会社の社外取締役会長を兼務し、機構から6億4600万円の投融資を受けた同社が破綻する直前、社長の損害賠償責任を問わない覚書を独断で作成した。今年6月に「一身上の都合」で機構を辞任したが処分は無く、退職慰労金約1400万円は満額支給された。
他の官民ファンドも収益低迷が問題になっている。財務省が11月に開いた審議会で、経済産業省所管の海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)やA-FIVEなど四つの累積損失が、今年度末で約460億円に上る見通しが報告された。
いずれのファンドも、国の資金を活用して中小事業者やベンチャー企業の成長を後押しする目的で設立された。投資収益を高めるには民間ファンドを上回るノウハウが必要だが、人材不足もあって事業計画が甘くなり、収益は伸び悩んでいる。【山下貴史、神崎修一】