安倍首相4選にいよいよ現実味…安倍・麻生が交わした「5分の会話」 「後継レース」は混沌としてきた

読んでもらいたい――。
《衆院選、参院選と国政選挙に6連勝した安倍政権が憲法改正をやらなかったら、いつやるのか。憲法には自衛隊を明記し、私学助成金制度なども状況に応じてあり得ると書き込めばいい。それがリアリズムの政治です。もっとも、残り2年を切った総裁任期で、憲法改正案を発議し、国民投票に持ち込むのは政治日程上、非常に厳しい。安倍総理が本気で憲法改正をやるなら、もう1期、つまり総裁4選も辞さない覚悟が求められるでしょうね。当然ながら、安倍さんの腹の中でも、憲法改正に賭ける執念は今も変わっていないと思います。》
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12月10日発売の「文藝春秋」(新年特別号)に掲載された麻生太郎副総理・財務相のインタビュー記事「安倍総理よ、改憲へ4選の覚悟を」の一節である。
安倍晋三首相の総裁4選を言及したのが自民党の二階俊博幹事長であれば、失礼ながら「またか」で済ませたのだが、発言したのが首相の盟友・麻生氏だっただけに筆者はその背景に強く拘泥する。
なぜか。先ず、タイミングである。当該誌発売日が第200回臨時国会の閉会の翌日。そして安倍首相は9日の閉会記者会見で、「憲法改正は決してたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」と語った。
次に関心が向かうのは、麻生氏は事前に安倍氏と擦り合わせをしていたのかである。筆者が承知しているところでは、「文藝春秋」は麻生氏をインタビューしたのは11月の上中旬ごろだ。その当時の国会は「桜を見る会」を巡る疑惑追及で紛糾しており、テレビのワイドショーも朝から夕方まで取り上げていた。

すなわち、編集部側は麻生氏への追加取材を余儀なくされ、インタビュー記事の原稿に繰り返し朱入れをしたに違いない。手順で言えば、麻生氏インタビュー→テープ起こし→所定分量で原稿化→追加取材による書き直し→原稿入稿→初校ゲラ朱入れ→再校ゲラ朱入れを経て、一応の決定稿が刷り上がる。最終校了は26、27日である。
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当然ながら、最終校了前に麻生氏は目を通す。安倍、麻生両氏が擦り合わせをしたとすれば、初校・再校ゲラが出る前後であることは容易に想像がつく。そして筆者は、安倍首相の「首相動静」を11月30日から10日前後まで遡ることにした。
直ぐさまビンゴ!!となった。麻生氏は安倍氏と短時間ながら差しで会っていたのだ。22日の首相官邸:午後5時17分から同28分まで、月例経済報告関係閣僚会議。同30分、麻生副総理兼財務相、財務省の岡本薫明事務次官、太田充主計局長、矢野康治主税局長が入った。同6時7分、太田氏が出た。同22分、岡本、矢野氏が出た。同27分、麻生氏が出た。
ここまでファクト(事実)である。この後は推測だが、確信はある。麻生氏は「文藝春秋」のインタビューを受けることを11月初めごろに安倍氏に電話で伝えた。自らも改憲論者である麻生氏は、9条を含めた憲法改正は安倍首相の在任中でしか実現しないと考えてきたはずだ。

そして文春インタビューが、その想いを自民党内外に強くアピールする絶好のチャンスになると判断した。加えて自分が総裁4選を言うことは重い意味を持つ、と。であったとすれば、安倍首相は件の22日のわずか5分の会話時に「肝」について聞かされたことになる。
このように推測を交えた検証を行ってみると、合点がいくことが多い。安倍首相は閉会記者会見に続く13日に東京・内幸町の帝国ホテルで開かれた内外情勢調査会の会合で講演し、改めて「必ずや私自身の手で(憲法改正を)成し遂げたい」と強調したのだ。要は、安倍首相のヤル気は本物ということである。
では、いかにすれば「自身の手で成し遂げる」ことが出来るのか。麻生氏は、安倍氏の総裁任期21年9月までの実現は「政治日程上、非常に厳しい」と指摘している。ということは、(1)総裁4選を目指すか、(2)一旦退いて再登板を目指すのか–の選択になる。麻生氏は(1)にリアリティがあると言っているのだ。
結論は、安倍、麻生両氏は事前の擦り合わせを行っていたのである。年明け以降の「安倍後継レース」は混沌としてきたと言っていい。