今年に入って4回、特殊詐欺の被害を防いだコンビニエンスストアが高知県佐川町にある。過去の被害事例を従業員たちが学び、被害に遭いそうな客には積極的に声を掛けた。間一髪で難を逃れた女性は「お店のおかげで助かった」と感謝を口にする。県警は「いつ被害に遭うか分からない。そんな意識を持ってもらいたい」と県民に注意を呼び掛け、犯行の手口を報道陣に公開した。【北村栞】
佐川町役場の北西約2キロの国道33号沿いにある「ローソン佐川町西店」。特殊詐欺が社会問題化する中、ローソン本部や警察署から各地の被害事例を伝えられた同店オーナー、二宮健誌さん(57)が従業員に周知した。職場の意識が高まり、電話で話しながら来店した人や、電子マネーを複数購入しようとした人に声を掛けた。その結果、今年4月から11月までに計4件、110万円相当の詐欺被害を食い止めた。
県警によると、今年県内で発生した特殊詐欺の被害は11月末までに22件。被害額は約4700万円に上る。そのうち4件で電子マネーが犯行手段に使われた。一方、コンビニで被害を防ぐケースが増えており、11月末までに県内で防がれた17件中、15件はコンビニで阻止された。
ローソン佐川町西店の功績をたたえ、県警は感謝状を贈った。原田哲・生活安全部長が「被害の阻止にまで至るケースは少ない。ありがとうございます」と述べると、二宮さんは「自分たちも佐川町で店をやっているので少しでも地元の被害を減らせればうれしい」と応じた。
また、今年9月に同店で声を掛けられ、被害に遭わずに済んだ町内の女性(64)が取材に応じた。「未納料金がある」というメールを携帯電話で受け取り、記載された番号に電話を掛けると、裁判を止めるためとして30万円を要求された。女性が「夫へ相談したい」と言うと「電話は切らずにコンビニでカードを買ってください」と誘導された。女性は詐欺を怪しんだが「お金は戻ってくる」と言われたことや裁判になるのが嫌という気持ちから支払いを決意したという。
女性は「支払わなくてよかった。詐欺は分かるんやないろうかと思っていた。でも、もしかしたら(有料サイトの登録などを)したんじゃないかと思ってしまった」と振り返った。