クリスマス直前、フリマアプリで「紙袋」が大量に売れる謎 データから分析

クリスマス商戦が盛り上がるこの季節。おもちゃに加えてアクセサリーやバッグなどのブランド品などが、典型的なプレゼントだろう。

一方、Web上では「クリスマス直後、プレゼントとして贈られた物とみられるブランド品が大量にフリマアプリなどネット上で出品されている」という話が近年、SNSやまとめサイトなどで定期的に話題に上っている。中でも特定の女性向けアクセサリーブランドの商品が、出品画像と共に「大量出品祭り」などと称され、よく取り上げられている。

「パートナーからのプレゼントがクリスマス直後、そのまま売りに出される」話は、確かにちょっとセンセーショナルだ。一方、メルカリの売買データをひもとくと、逆に「クリスマスの直前、大量に買われる」ちょっと意外な中古品があるという。独自データから分析してみた。

12月に「ショップ袋」売買数が倍増
メルカリによると、クリスマス直前に同社のフリマアプリ上で購入数が急増するのは「紙袋」。メルカリでは数百円台から、高い場合は2000円台くらいで価格が設定されることもある。商品カテゴリーをこの「ショップ袋」(いわゆる高級ブランド品の紙袋や空箱が該当)に指定して売買の件数をグラフ化したところ、12月に入るタイミングで急増していることが分かった。

例えば2018年のデータでは、他の月では1万件台だった売買件数が12月に入ると徐々に跳ね上がり、同月16~17日頃にピークを迎えている。その後急激に減衰するものの、12月全体の件数は約2万と、倍の規模になった。

プレゼント用に買った「中古ブランド品」を包む?
16年頃からこの傾向は始まっており、年を追うごとに紙袋の売買数そのものも増加している。例えばピークに近い今年の12月17日の件数は、4年前の同じ日に比べて約5倍まで増えた。ちなみに、出品数の方は「毎月数万件と安定しており、年末に向けて急増するような傾向は無かった」(メルカリの担当者)。

アクセサリーやバッグといったブランド品の紙袋や空箱は、まさに中古市場でしか流通しない、フリマアプリやネットオークションならではの出品物と言える。用途のかなり限定されそうなこれらの「商品」が、クリスマスの直前に求められるのはなぜか。

他の季節であれば業者の何らかの営利目的や、ちょっと変わった「コレクター」が買っている可能性もあるが、このタイミングでの増加要因としてはちょっと考えにくい。ここで浮上するのが、「クリスマスプレゼント用に購入した中古・未使用品のブランド品を包む」利用法だ。

年に1度のクリスマスプレゼント、何となく店から新品を購入する人が一般的のように思える。ただ、ヤフーの運営するPayPayフリマが11月にWeb上で20~50代の男女800人に行った調査によると、21%の人が「クリスマスプレゼントをフリマアプリで買うのは、新品・中古問わずOK」と回答している。

こちらもあくまで中古流通を促したいフリマアプリ側の調査ではあるが、一定数はクリスマスプレゼントが「完全な新品」でなくても良い、と考えているようだ。

「見た目は新品風にしたい」消費者心理?
こうした動向の原因が「中古品・新古品(未使用品)に対する消費者の抵抗感の薄れ」なのか、それとも「体感景気が振るわないことなどから、節約のため高い新品を買いたがらない心理」なのかは、ちょっと判断しづらい。ただ、たとえクリスマスプレゼントを転売品で安く済ませたとしても、同じブランドの紙袋に入れることで「せめて見た目は新品風にしたい」という、複雑な消費者心理が背景にはありそうだ。

ちなみにメルカリは、冒頭の「クリスマス後に特定ブランドのアクセサリーが大量に転売に出される」話については、「レディースアクセサリーのカテゴリーでデータを確認したが、(このタイミングで出品数が急増する)傾向は無かった」(担当者)と説明している。