ビキニ訴訟控訴審が結審 12月12日に判決言い渡し 高松高裁

1954年に太平洋・ビキニ環礁付近で米国が実施した水爆実験を巡り、周辺海域で当時操業していた漁船の元船員や遺族らが慰謝料などを求めた訴訟の控訴審が12日、高松高裁(増田隆久裁判長)で結審した。判決は、12月12日午後1時10分に言い渡される。
2016年5月、元船員や遺族ら45人が慰謝料など計約6500万円を国に求めて高知地裁に提訴。原告は「国が被ばく事実を隠したため、補償や損害賠償請求する機会を失った」と主張した。しかし地裁は18年7月、賠償請求権が消滅すると規定した民法の「除斥期間」(20年)を過ぎており、国が被ばく事実を隠匿したとも断言できないとして請求を棄却した。原告のうち29人は判決を不服として、高松高裁に控訴した。
この日、原告代理人の梶原守光弁護士(高知弁護士会)が最終弁論に立ち、政府が被ばく資料を隠し続けてきたと改めて主張。「被災者は高齢者ばかり。政府は潔く非を認め、一日も早い被災者救済への道を開くべきだ」と訴えた。一方、国側は控訴棄却を求めた。
閉廷後、高松市内で開かれた記者会見には支援者らが出席。原告で元船員の増本和馬さん(83)=高知市=は「裁判官は正しいことを正しく理解して結論を出してほしい。いい結果が出ることを願う」と語った。【松原由佳、潟見雄大】