子どもへの性加害を「純愛」だと主張する小児性犯罪者たち、急増する“子ども型セックスドール”が新たな加害を生み出す?

「セックスもしましたよ……愛し合っているなら当然のことでしょう。それを周りの人たちが、ぶち壊したんです。私がロリコンだって……」
大森榎本クリニック精神保健福祉部長で精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏の著書『「小児性愛」という病─それは、愛ではない』(ブックマン社)の帯に書かれているこの衝撃的なセリフは、斉藤氏が勤務するクリニックで出会った男性から聞いたものだ。
12歳の少女に性加害をした49歳の男は、そのように言って、自らの犯した罪の重大さをまったく理解してない様子だったという。おぞましい被害を受けた少女は、その後精神的・身体的バランスを著しく崩したと、斉藤氏の本の帯には書かれている。
「小児性犯罪者の傾向としては、自己肯定感が極めて低く、いじめの被害者になった経験があり、成人女性との恋愛に対しては、相手にされなかったなどの挫折体験がある。そんなタイプが児童ポルノなど何らかの「トリガー」がきっかけでそのパンドラの箱が開く。同時に、子どもを性の対象として見る人は、教職関係やスポーツコーチなど、子どもを相手とする職業に紛れ込むケースが非常に多い。そういった人は教師としては子どもを引きつける魅力(ペドフィリア・フェロモン)があり、子どもからも保護者からも人気があるケースが少なくなく、子どもは性被害を受けても逆らえず、被害を周囲の大人に申告することもできない。このような被害を受けた子どもはそのときは自分が何をされたか理解できなくても、大人になるにつれて、深刻な精神的トラウマに苦しめられることが非常に多いのです」

こう説明する斉藤氏は、東京の榎本クリニックで、日本では初めての小児性犯罪者を対象とした治療プログラムを行なっている。
患者の多くは、子どもに対する性加害行為で逮捕され、裁判を控えていたり、刑務所を出たり、執行猶予になったりした人たちだ。斉藤氏によると、上記のような小児性犯罪者すら、自分の行なった性加害行為は「純愛だった」と話すほど、彼らは認知の歪みを抱えているのだという。
斉藤氏の治療プログラムでは、同じ性加害者たちと自分の行動を正直に言語化したり、性加害にいたるきっかけとなる出来事を自覚する認知行動療法に取り組むことで、再犯を防ぐことを目指す。
「小児性犯罪者は刑務所の中でもいじめられたり、刑務所を出てからも孤立することが多い。他の性依存症患者の間でも、小児性犯罪者は『あいつらは頭がおかしい』と軽蔑されるということが、私が性依存症者の治療プログラムから小児性犯罪者の治療プログラムを独立させた大きな理由です。こういった社会的孤立は再犯への引き金になります。彼らの行為は子どもに大きなトラウマを植え付ける許しがたいものですが、厳罰を与えて監視するだけでは再犯は防げません。彼らに生きている場所を与えるためにも、小児性犯罪者向けの行動変容のための治療プログラムは必須だと私は思っています」
こう話す斉藤氏は、小児性犯罪者に子どもに対する性衝動を与えるきっかけとして、児童ポルノが果たしている大きな影響についても警鐘を鳴らす。

「児童ポルノを見たことがきっかけで小児性愛的傾向に目覚めたという人は非常に多いです。写真(実写版)ももちろんですが、子どもと性交渉をする成人向けのマンガ(二次元)が大きなきっかけになっている人もいます。直接の被害者がいないマンガについては、表現の自由との兼ね合いで規制が見送られていますが、小児性犯罪者の認知の歪みに与える影響については、もっと社会がきちんと認識するべきだと私は思っています。今後は、その関連でエビデンスを出していきたいと考えています」
さらに、現在ではVRによる児童ポルノ映像や、子どもの姿を模したセックスドールが出現し始め、小児性犯罪者に新たな性衝動を与えているという。
子どものころの性被害は、少女が大人になってからも深刻な精神的・肉体的な影響を及ぼす。被害者を増やさないためにも、児童ポルノと表現の自由の兼ね合いについては、真剣な議論が行なわれるべきだろう。