障害持つ人が企業、経営者にアドバイス 「ダイバーシティ戦隊・ヤルンジャーズ」結成

耳が聞こえない、足が不自由、発達障害――。さまざまな障害を持つ人たちが、ハラスメント対策に取り組む企業や経営者らにアドバイスする団体を結成した。名付けて「ダイバーシティ戦隊・ヤルンジャーズ」(拠点・兵庫県川西市)。障害者雇用が進む中、性別や国籍、障害の有無といった多様性を楽しくアピールする。リーダーで元毎日放送ラジオ報道部長の大谷邦郎さん(58)=同市=は「当事者の的確な視点を取り入れてほしい」と笑顔を見せる。【生野由佳】
「障害者から学ぶことはたくさんある」
活動のきっかけは数年前、政治家の妻が障害者イベントで「私たちができる支援を考えます」と話した言葉だった。「障害者は支援を受けるだけの存在ではない。障害者から学ぶことはたくさんある」。そう思った大谷さんは2016年に早期退職し、情報発信のコンサルタントなどを担う「グッドニュース情報発信塾」(川西市)を設立した。
隊員は取材などを通じて知り合った約35人で、それぞれの魅力を発信して多様性を受け入れる社会づくりを目指し、19年夏から活動を開始。11月に「戦隊」を結成した。ハラスメントを抑制して経営リスクの軽減と労働意欲の向上を狙う。
11月7日夜、大阪市北区でお披露目会があり、会場は笑い声に包まれた。
「ちょっと立ってみよか」
「おい、立てへんわ」
声をかけた大谷さんに突っ込み返すのは、車椅子に乗った大内秀之さん(40)=同県伊丹市。障害者による「パラクライミング日本選手権大会」で19年2月に3連覇を果たし、両手だけのクライミングで他の追随を許さないアスリートだ。

生後まもなく、脊髄(せきずい)の悪性腫瘍を手術した影響などで両足がほとんど動かず、学生時代は屋外で走り回る同級生を見て歯がゆい思いをしたという。会場ではクライミングの楽しさをユーモアを交えて紹介し、「挑戦することが大切。誰にでも可能性がある」と来場者に伝えた。
「覚えられない、期限が守れない、机が散らかり放題。職場にこんな人いませんか」。発達障害の当事者らでつくる一般社団法人「アンバランス」(大阪市)代表の元村祐子さん(49)も隊員だ。講演では、発達障害の可能性がある人が身近にいることを説明している。当事者としての経験から、「発達障害の人は曖昧な表現が苦手で意思疎通ですれ違いが生じやすい」と元村さん。「『困っていることはないか』と尋ねられても、本人に自覚がなく『ない』と答えてしまいがち。『嫌な出来事はあったか』と具体的な声かけがあると相談しやすい」とアドバイスし、発達障害への理解を深めてもらう。「障害があるとは分からないと言われます。発達障害は見えない障害ですから」
他に、聴覚障害者らでつくる「手話エンターテイメント発信団oioi(オイオイ)」(大阪市)は歌やダンスを交えて手話の魅力や表現力をアピールする。助産師グループ「ウィズ ミッドワイフ」(大阪市)代表の岸畑聖月さん(28)も隊員の一人で、職場での出産・育児を巡る相談に応じる「顧問助産師」を目指す。
「戦隊」はこれまで、市民講座で手話を交えたパフォーマンスを披露し、自治体職員向けに「マタニティーハラスメント研修」を開催してきた。今後は、飲食、美容業界を対象に、発達障害や聴覚障害など一見して分かりにくい障害のある客に応対する接客研修も企画している。「飽きさせません。楽しくユニークで、役立つ研修内容を厳守しております」と大谷さん。講談師でもあり、軽妙な語り口で「狂言回し」のように研修を盛り上げている。
研修内容は隊員による講演の他、「オイオイ」はパフォーマンスも。費用は要相談。企業や団体を対象に受け付ける。問い合わせは、ヤルンジャーズ(nrn59240@nifty.com)へ。