通勤は「パーク&ライド」で=駐車料、公費で半額負担―地域交通の利用促す・茨城

職員の9割が車通勤する茨城県は2020年度、高速道路料金の支給手当を制限し、マイカー通勤の在り方を見直す。郊外の駐車場に車を止めてバスや鉄道に乗り換える「パークアンドライド」を促進し、公共交通機関を活性化させるのが狙い。全国的にも例のない取り組みで、高齢化社会の課題である「生活の足」の維持につなげたい考えだ。
県内では少子化などを背景に、02年から18年までの間、民間バス計363系統、走行距離約1800キロ分の路線が廃止された。バスや鉄道など公共交通機関の利用者は、1975年から17年までに延べ約1億6000万人減少した。
そうした中、県は20年度、本庁職員による通勤時の高速道路利用料の半額支給を取りやめる。代わりに最寄り駅やバス停付近の駐車場料金の半額を支給することを決めた。
県バス協会の沢畠政志専務理事(69)は「バスは今、交通弱者のためにある。公共交通機関がなくなると将来的に移動に困るという意識を持ってほしい」と強調。県の取り組みには「大賛成だ」と話す。
一方、職員の一部には困惑の声も。片道約60キロを車で通う30代の男性職員は「目的は分かるが、通勤時間が膨らむ。子どものためにも早く家に帰りたいので、自腹で高速で来ようか迷っている」と明かす。
県の担当者は「時差出勤制度も利用しながら少しずつ慣れてほしい。公共交通機関の利用者が少しでも増えれば、増便など活性化につながる」と説明している。