カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる収賄容疑で昨年末、IR担当の内閣府副大臣だった衆院議員、秋元司容疑者=自民党を離党=が、東京地検特捜部に逮捕された。この事件は、2020年の永田町を激震させそうだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が迫った。
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「これまで通り、着実に進める。事業そのものに影響することはない」
ある政権幹部はこう語るが、心中は穏やかではない。事件発覚直後、捜査の行方について、必死で情報収集していた。
臨時国会の閉幕を待って、特捜部は動いた。秋元容疑者は17年9月、日本でのIR事業参入を狙う中国企業側から現金300万円を受け取った疑いで逮捕された。秋元容疑者は容疑を否認しているが、自民党を即日離党した。
IR事業は、安倍晋三政権の「成長戦略の目玉」である。
推進派の自民党幹部は、特捜部による「政治的捜査」を示唆するが、検察OBは「贈賄側が、ほぼ『完落ち』状態で、ブツ(証拠)もあるようだ。そもそも、IR利権については、これまでもかなり多くの情報が入ってきていた」と明かす。
秋元容疑者は、東京選出の自民党衆院議員の秘書から議員になった。
ベテラン都議は「秘書時代から、各方面に人脈を張りめぐらせ、政治資金集めなどで手腕を発揮していた。パチンコ業界にも強い人脈があり、IR事業推進による摩擦の調整のキーマンだった」と指摘する。
今回の事件を受け、IR事業や安倍政権へのダメージは避けられない。
IR事業を所管する国交省幹部は「これまでも依存症対策などで国民の不信感はあったが、それは政策的な論点だった。今回は利権でタチが悪い」と語る。
自民党政調担当幹部も「世論も『やっぱりカネが動いていたのか』と厳しくなる。誘致に手を挙げている自治体の住民の反感に火が付いたら、撤退するケースもあり得るのではないか」と
事件は横ではなく縦へ広がるとの見方もあり、怪文書も出回っている。
野党は今後、国会での追及を強める方針で、「安倍政権は、東京五輪までにIR整備を認める3カ所を決め、外国人観光客へのPRを検討していたが、そのスケジュールは遅れるだろう」(前出の政調幹部)という。
筆者の取材で、有力候補地は、東京と横浜、沖縄、大阪、長崎だ。
首相主催の「桜を見る会」に続き、成長戦略の目玉の遅れは、「ポスト安倍」の権力闘争も強まるなか、政権運営をさらに厳しくさせそうだ。(ジャーナリスト・鈴木哲夫)