大阪府堺市が保健業務を補助する女性看護師を「有償ボランティア」とみなして、年次有給休暇の取得を拒んだことに対し、堺労働基準監督署が是正勧告していたことがわかった。
労働者として扱い、年休中の賃金不払い分を払うよう市に求める内容。市は同様の業務に就く看護師や助産師らについて、雇用契約を結ぶ方向で検討している。
市や関係者によると、勧告は昨年12月27日付で、市の「保健医療業務協力従事者」になっている女性看護師に対し、市が3日間の年休取得を認めなかったのを不当と指摘。3日分の賃金にあたる1万8600円を女性に支払うよう求めた。
協力従事者は登録制で、看護師や助産師、歯科衛生士ら約180人いる。乳幼児検診やがん検診などを補助したり、新生児の家庭を訪問したりする。業務は1日3時間までで、看護師や助産師には6200円の謝礼が支払われる。労災保険には未加入だが、業務中や通勤時の事故は市が入っている保険で補償されるという。
女性は協力従事者を20年超務め、昨年3月に初めて年休取得を申し出た。市に「有償ボランティアだ」として拒まれたため、堺労基署に申告していた。
市は「専門性のある業務を有資格者に手伝ってもらう制度。業務にあたる日も本人の希望で決めている」とし、ボランティアと考えるのが妥当だと主張。だが労基署側は業務実態から「労働者性がある」と判断したとみられる。
市によると、協力従事者を労働者とみなした場合、年休が取得できる年48日以上従事した人は女性を含め約40人いる。市は勧告を受け、協力従事者の制度を抜本的に見直す方針だ。(加戸靖史)