ゴーン被告会見、出国手段「話さない」…司法制度を改めて批判

会社法違反(特別背任)などで起訴され、保釈中に逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(65)が8日午後10時(日本時間)過ぎ、レバノンの首都ベイルートで、逃亡後、初めて記者会見した。ゴーン被告は「基本的な人権も守られない」などと日本の刑事司法制度を改めて批判したが、不法に日本を出国した手段については、「話さない」と口をつぐんだ。
米CNNの中継映像などによると、会見場に現れたゴーン被告は黒っぽいスーツにピンクのネクタイ姿。「私にとって重要な日だ。この日を楽しみにしていた」。気合のみなぎった表情で集まった報道陣の前に立つと、大きな身ぶり手ぶりで、まくし立てるように持論を展開した。
ゴーン被告は2018年11月19日、役員報酬の過少記載事件で東京地検特捜部に逮捕され、19年3月の最初の保釈まで勾留は108日間に及んだ。「検察官に『自白しなければもっとひどいことになる。家族も追及する』と言われ、絶望的な気持ちだった」とし、「日本の刑事司法は公平ではなく、私は逮捕、勾留されるべきではなかった。私の家族も想像を絶する苦しみを味わった」と批判した。
役員報酬の過少記載事件について「支払われていない報酬を理由に逮捕されたのは、他の国ではあり得ない」と述べるなど、会社法違反を含めた一連の事件について無実を主張した。
ゴーン被告の冒頭発言は約1時間に及び、「私は日本で『強欲な独裁者』と言われてきたが、間違っている。私は日本を愛している」と訴えて締めくくった。
その後の質疑応答では、出国した理由について「日本では公正な裁きを受けられない」「他に選択肢はなかった」と語った。
ゴーン被告の会見を受け、法務・検察当局は即座に反論した。
9日午前0時40分から緊急記者会見を開いた森法相は「主張すべきことがあるのなら、我が国の公正な刑事司法手続きの中で主張を尽くし、正々堂々と公正な裁判所の判断を仰ぐことを強く望む」と述べた。
東京地検の斎藤隆博・次席検事も同日午前0時過ぎ、「犯罪に当たり得る行為をしてまで国外逃亡したもので、会見内容も自らの行為を不当に正当化するものにすぎない」などとするコメントを出した。
ゴーン被告は会見で、妻のキャロル・ナハス容疑者(53)(偽証容疑で逮捕状)との接触が原則禁止された保釈条件に強い不満を示したが、斎藤次席検事はコメントで「妻を通じて証拠隠滅を行ってきたことを原因としており、被告自身の責任によるものだ」と指摘。「我が国で裁判を受けさせるべく、関係機関と連携して、できる限りの手段を講じる」とした。