このところ不気味な地震が相次いでいる。2011年の東日本大震災以降、列島は“地震時代”に突入し、震災の最大余震、首都直下型、南海トラフなどいつどこで何がおきてもおかしくない…が地震学会での定説となった。会員制サイト「MEGA地震予測」を運営する地震科学探査機構(JESEA)では、地殻変動を独自に解析し、発生しうる揺れの兆候をキャッチ。その高い精度は地震学者をして「驚異の捕捉率」と言わしめるほど。そのJESEAが「いま最も危ない」と注目するエリアがここだ!(海野慎介)◇ 突如襲ってくる大地震。19年1月には熊本県和水(なごみ)町で最大震度6弱、マグニチュード(M)5・1が発生。6月には山形県沖を震源とするM6・7の地震が起き、新潟県村上市で同6強を観測、山形、新潟両県などで40人超が負傷し、1200超の家屋に被害が出た。 こうした地震の発生を事前に察知できさえすれば、被害を最小限に抑えられるのに…。誰しもそう思うことだろう。 JESEAの会長で測量工学の世界的権威、村井俊治・東大名誉教授は先の大震災が発生する前、東北地方の土地で異常な隆起、沈降、左右にズレるなど奇妙な現象をとらえていたという。 「これを基に予測を発信できていれば…。今でも悔しい思いです」と打ち明ける。 この経験から13年に予測を開始。現在、3カ月以内に震度5以上の地震が起こる兆候をつかんだ場合、会員制サイトで、どのエリアが危険で、どの程度の期間、注意が必要かなど警戒情報を発信している。 予測に用いるのは人工衛星の測位データで、「普段から地盤は隆起沈降し、東西南北に動いている。そのひずみが地震を引き起こすと考えています」と村井氏。 地図中の暖色で示された地域は、地盤が隆起し、寒色の地域は沈降、矢印は東西南北に地盤がどの程度、変動しているかを表す。4週間で4ミリ以上の変化があった場合のみ記載し、矢印が長ければ長いほど大きく動いたことを示している=凡例参照。これらの現象を独自に解析し、地震発生前の不気味な兆候をとらえるわけだ。 現在、警戒を要する地域は3エリアある。首都圏が含まれるだけにひと度、発生すれば、日本の政治、経済の中枢が機能不全に陥りかねない。 ■ワースト1(要警戒) 東北エリア 茨城、福島、岩手で震度4~5 東北エリアは、先の震災の被害が大きかった太平洋側、日本海側ともに異変がみられる。 「太平洋側は東日本大震災で大きく沈降した後、徐々に元に戻ろうと隆起している。これに対して、日本海側は沈降気味になっている。隆起する速度に注目すると、宮城県が最も速く、その速度の差が新しいひずみを生んでいる。隆起が途切れる茨城県、福島県、岩手県のあたりで震度4~5クラスが起きる可能性がある」(村井氏)
このところ不気味な地震が相次いでいる。2011年の東日本大震災以降、列島は“地震時代”に突入し、震災の最大余震、首都直下型、南海トラフなどいつどこで何がおきてもおかしくない…が地震学会での定説となった。会員制サイト「MEGA地震予測」を運営する地震科学探査機構(JESEA)では、地殻変動を独自に解析し、発生しうる揺れの兆候をキャッチ。その高い精度は地震学者をして「驚異の捕捉率」と言わしめるほど。そのJESEAが「いま最も危ない」と注目するエリアがここだ!(海野慎介)
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突如襲ってくる大地震。19年1月には熊本県和水(なごみ)町で最大震度6弱、マグニチュード(M)5・1が発生。6月には山形県沖を震源とするM6・7の地震が起き、新潟県村上市で同6強を観測、山形、新潟両県などで40人超が負傷し、1200超の家屋に被害が出た。
こうした地震の発生を事前に察知できさえすれば、被害を最小限に抑えられるのに…。誰しもそう思うことだろう。
JESEAの会長で測量工学の世界的権威、村井俊治・東大名誉教授は先の大震災が発生する前、東北地方の土地で異常な隆起、沈降、左右にズレるなど奇妙な現象をとらえていたという。
「これを基に予測を発信できていれば…。今でも悔しい思いです」と打ち明ける。
この経験から13年に予測を開始。現在、3カ月以内に震度5以上の地震が起こる兆候をつかんだ場合、会員制サイトで、どのエリアが危険で、どの程度の期間、注意が必要かなど警戒情報を発信している。
予測に用いるのは人工衛星の測位データで、「普段から地盤は隆起沈降し、東西南北に動いている。そのひずみが地震を引き起こすと考えています」と村井氏。
地図中の暖色で示された地域は、地盤が隆起し、寒色の地域は沈降、矢印は東西南北に地盤がどの程度、変動しているかを表す。4週間で4ミリ以上の変化があった場合のみ記載し、矢印が長ければ長いほど大きく動いたことを示している=凡例参照。これらの現象を独自に解析し、地震発生前の不気味な兆候をとらえるわけだ。
現在、警戒を要する地域は3エリアある。首都圏が含まれるだけにひと度、発生すれば、日本の政治、経済の中枢が機能不全に陥りかねない。
■ワースト1(要警戒) 東北エリア 茨城、福島、岩手で震度4~5
東北エリアは、先の震災の被害が大きかった太平洋側、日本海側ともに異変がみられる。
「太平洋側は東日本大震災で大きく沈降した後、徐々に元に戻ろうと隆起している。これに対して、日本海側は沈降気味になっている。隆起する速度に注目すると、宮城県が最も速く、その速度の差が新しいひずみを生んでいる。隆起が途切れる茨城県、福島県、岩手県のあたりで震度4~5クラスが起きる可能性がある」(村井氏)