結核患者、外国人が1割超す 20代では7割 厳しい生活環境影響か

結核患者に占める外国人の割合が2018年、初めて1割を超えたと厚生労働省が明らかにした。医療の向上で全体の患者数が減る一方、結核が流行する東南アジア各国から多くの外国人労働者を受け入れているためとみられる。20代の患者に限ると7割が外国人だった。
厚労省によると、18年の新規の結核患者数は、前年から1199人減って1万5590人だった。うち外国人患者は1667人で、5年前(13年)の1.5倍に増えている。
外国人患者の出身国は、フィリピン、ベトナム、中国の順に多く、結核が流行するアジア6カ国で8割を占める。労働者として急速に受け入れが進むベトナム出身の患者は289人で、5年前の4倍になった。
外国人患者の職業は、日本語学校の留学生を含む「生徒・学生」が28%だった。技能実習生の患者統計はないものの、集団感染が近年多発しており、患者数も多いとみられる。
外国人患者の入国時期は「5年以内」が半数。発病したまま入国するケースもあるが、生活環境の変化などで来日後に発病することが多い。
公益財団法人「結核予防会」結核研究所の加藤誠也所長は「外国人の居住・労働環境の厳しさが患者増に影響している」と指摘する。【熊谷豪】
結核
「結核菌」という細菌が原因で起こる感染症。感染してもすぐに発病するとは限らず、発病するのは体力や免疫力などによるため「弱者の病」と言われる。戦後間もない時期まで日本人の死因1位だったが、医療の進歩や生活環境の改善で患者数は大きく減少した。ただ、現在も世界で年間160万人が死亡する世界最大の感染症で、国内の死者(2018年)は2204人。