銀座線の渋谷駅はどうなった? 工事はまだまだ続く

今年1月3日から、東京メトロ銀座線の渋谷駅ホームがこれまでの東急百貨店内から、明治通り上空に移設した上で、新しく供用が開始されることになった。

渋谷駅街区基盤整備により09年から駅移設工事を進め、今回の移設工事により、新しい場所での営業がようやく開始されることになった。

これまでの東京メトロ銀座線の渋谷駅ホームは、東京メトロの前身、営団地下鉄が営団になる前の民営時代につくられたものだった。その際の事業者は「東京高速鉄道」という会社で、東急系の企業だった。

銀座線渋谷駅が地上にあるのは、表参道から地上は急勾配になっているため、ずっと地下を走らせるような形にすると当時の電車では走行が難しかったからである。地上に飛び出しているかのように見えるのは、表参道からまっすぐ走らせると、あの位置になってしまうからだ。

東急百貨店東横店は当時、「東横百貨店」と呼ばれ、旧ホームのある東京高速鉄道渋谷駅は1938年に開業した。その翌年には、玉川電気鉄道玉川線のホームが東横百貨店内に開業し、接続の利便性向上をはかった。玉川線は溝ノ口方面へと伸びる路面電車であり、現在の東急田園都市線とほぼ同じルートをたどっている。また、支線だった東急世田谷線は、いまも運行されている。玉川電気鉄道ものちに東急に合併される。

また、あの位置にあることで、東京横浜電鉄(現在の東急東横線)との接続も確保され、郊外からの利用者が都心に向かうのに便利だったこともある。現在の東急東横線は地下駅だが、当時は地上駅であり、大きなターミナルだった。その時代としてはあの位置にあるのが妥当だったことになる。

そんな銀座線の地上ホームが、現在の位置に移転することになる。

さまざまな状況が変わってしまった
東京高速鉄道が開業したとき、車両は3両程度だった。現在の銀座線は6両編成を3分間隔で走行させても、いつも混雑している。そのため、ホームはいつも人であふれており、混雑がずっと課題であり続けていた。

一方、他路線をめぐる状況も変わっていった。東急新玉川線(のちの田園都市線)が地下駅となり、JRの山手貨物線にもホームができた。京王井の頭線の渋谷駅はマークシティとなり、そして東急東横線は地下駅となった。

渋谷駅周辺の再開発が進み、その中で東急百貨店東横店の閉店や、渋谷スクランブルスクエアといった新たな商業施設の建設なども行われるようになった。そのような状況の中で、銀座線渋谷駅の移転が行われることに。

新しい銀座線渋谷駅の場所は、明治通り上空、これまでよりちょっと表参道側になる。渋谷ヒカリエからの地下駅へのアクセスと、渋谷スクランブルスクエアへのアクセスが向上し、東急東横線からのアクセスが便利になる。一方で、京王井の頭線からのアクセスは遠くなる。

では、どのように変わったのだろうか。現地に行ってみた。

ホームは移転しても未完成の状態
京王井の頭線の渋谷駅から東京メトロ銀座線の渋谷駅に向かってこれまでのように歩く。すると、銀座線へのアクセスルートのある階段の前に、案内の係員が立っていた。銀座線に向かう方向を示し、これまでのルートは使えないことを案内している。別の階段でも同様に係員が立っていた。

JR玉川改札の前を通り、中央改札へ向かう階段を登ることになった。ラッシュ時には、この階段はいっそう混雑するだろうな、ということを考えた。

案内に従い、ホームに向かおうとするとちょっとした階段を登り、旧降車ホームの中を通る。このホームは狭い。旧降車ホームをすぎると、雨が当たるところもある。混雑の中新ホームのスクランブルスクエア方面改札の前に出た。

別ルートも検証してみた。JR中央改札からスクランブルスクエア方面改札へのルートだ。こちらも通路が狭い。また、改札を出たら玉川改札方面からの階段を使ったルートとぶつかることもあり、しばらくは混乱しそうだ。

しかしこういった状況も、工事が完成しルートが整えば、改善することになるだろう。渋谷スクランブルスクエアの中にあるエスカレーターのルートに入っていくと、スムーズに動くことができるからだ。動線の悪さは、あくまで工事中だからであり、完成した際にはスムーズに動くことができるだろう。

別の改札にも行ってみた。渋谷ヒカリエから歩いてアクセスする明治通り方面改札は、東急東横線や東京メトロ副都心線とのアクセスを意識したものだ。こちらの改札からは、人の歩く動線の混乱もなく、スムーズに歩くことができる。

この改札を通って中に入る。

M型アーチの広々とした空間
ホームの屋根はアーチ状になっており、柱のない広々とした空間を演出している。新しい駅舎は、近未来的な印象を与えようとしており、白色による明るい空間となっている。この駅舎は外から見ても圧迫感は感じさせないようにという意図もある。

ただし、未完成の部分もまだある。例えば、最近の駅には必ずあるホームドアがまだ設置されておらず、エレベーターの整備もこれからだ。改札内にトイレはあるものの、ホーム上にこれからつくる予定である。

しかし、新駅では変わったことがある。これまでの銀座線渋谷駅では、乗車ホームと降車ホームが分かれていた。分かりやすかったものの、どちらのホームも狭く、混雑の原因になっていた。特に乗車ホームは、改札が少なく、人が滞留しがちだったためか奥まで歩いていくことが難しかった。

その状況が、ホーム両側から乗降ともに改札にアクセスできるようになり、改善したのだ。ホームの幅も、12メートルとこれまでより広く、しかも両方のホームから乗車できるようになったため、改札内に多くの人がいても大丈夫なようになっている。

券売機については、減少している。これは交通系ICカードを使用する人が多くなったという理由があるからだろう。

新しい銀座線渋谷駅は未完成の部分も多々あり、年末年始のホーム移設工事ではホームを移設しただけという印象もあるものの、定期運行を行っている中ではそういったことはまとまった休みのある時期でないと不可能であり、銀座線渋谷駅の改善のためには必要なことである。これからも工事は続く。

いったん表参道駅まで往復し、再度渋谷駅の改札を出る。東急百貨店東横店のこれまでの改札を出たところには文具の伊東屋があり、このお店は3月末で閉店するという。東急百貨店東横店も閉店だ。いろいろなところで、渋谷駅は変わり、新しくなっていく。

(小林拓矢)