鹿児島女児死亡 ネグレクト「軽度」 一時保護見送り時、児相が判断

鹿児島県出水市で大塚璃愛来(りあら)ちゃん(4)が死亡し、母親の交際相手が暴行容疑で逮捕された事件で、鹿児島中央児童相談所が4月10日に「援助方針会議」を開き、璃愛来ちゃんの一時保護を見送った際、母親のネグレクト(育児放棄)を「軽度」と判断していた。12日の出水市議会一般質問で、児相の支援記録を入手した市議の指摘で分かった。【降旗英峰】
璃愛来ちゃんは同県薩摩川内市に住んでいた3月21日~4月2日、深夜に近所の路上や駐車場を1人で出歩き、県警薩摩川内署が4回保護した。これを受けて4月9日に「要保護児童地域対策協議会」が開かれ、薩摩川内市や署は璃愛来ちゃんの一時保護を強く要請した。
しかし、児相は10日の援助方針会議で「次に徘徊(はいかい)などがあれば一事保護する」と即時保護は見送った。市議によると、児相はその際に当時の母親のネグレクトの状態を「軽度」と判断して支援記録に記載していた。
児相によると、虐待については、生命に危機を及ぼす「最重度」次いで「重度」「中度」「軽度」と所内で4分類の指標を設けている。佐多士郎所長は「児童の健康を脅かすほどでないネグレクトとの判断で、軽いケースとみなしたわけでない。母子を分離する行為は児童にトラウマとなる可能性があり、できれば避けたい」と考えたという。
母子はその後、出水市に転居して建設作業員、日渡駿容疑者(21)と同居。8月27日に璃愛来ちゃんは頭部を殴られたとされ、29日に死亡が確認された。死因は水死だった。4月10日の援助方針会議で即時保護を決めていれば、結果は違った可能性がある。
市議会では、椎木伸一市長が「璃愛来ちゃんにあざがあるとの情報があった時点でケース会議を開くべきだった。申し訳ない」と謝罪した。
市は8月に病院からあざの情報を得た時に児相や警察に伝えていなかった。今月中にも虐待や引きこもりに対応する「安心サポートセンター」を設立することも明らかにした。