―[言論ストロングスタイル]―
◆一刻も早く安倍内閣を潰したがっているのは誰か。ズバリ、検察庁であると読む
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
さて、昨年はラグビーのワールドカップの日本開催と日本代表の善戦は慶事だったが、政治の世界は相も変わらずグダグダだったし、経済は消費増税10%で既に悪化の兆しを見せている。
では、どうするのか! どうなるのか? ではなく、どうするのか!を考えてみたい。
その為には、まずカレンダーだ。
日本にとって、重要な国で選挙が行われる。1月11日が台湾の総統選挙、11月3日がアメリカ大統領選挙だ。いずれも我が国の友好国である。我々としては、ぜひとも蔡英文総統とドナルド・トランプ大統領に当選してもらいたい。
台湾では、「国共合作」と言われ久しく、野党国民党は中国共産党の同盟国のような振る舞いをする。香港情勢が緊迫化し、南シナ海で東南アジアの小国を威嚇し続けている中国への警戒が強まれば台湾人に危機感が芽生え、民進党を与党とする蔡英文総統が再選されるだろうとの見立てがセオリーだが、選挙ばかりは蓋を開けてみなければわからない。(※原稿執筆後の1月11日、蔡英文が過去最多の得票数を記録して再選を果たした)
アメリカは、選挙一色の年だ。別名、「4年に1度の南北戦争」である。野党民主党は下院で多数を占めたので勢いに乗り、トランプ大統領の弾劾に踏み込んだ。しかし、上院では与党共和党が多数なので、弾劾が成立する見込みは少ない。野党の攻勢を梃子に与党共和党が結束し、トランプ大統領の再選を目論んでいると思われる。アメリカはトランプの景気刺激策が功を奏しているので、特に大きな失政が起きない限り再選は固いとみられている。
だが、世の中に「絶対」などと予想できることが、いくつあるのか。ましてや、選挙は蓋を開けてみなければわからない。まさに前回のアメリカ大統領選挙では「トランプはイロモノ」「ヒラリーが絶対に当選」と決めつけていた愚か者が多発した。しかし、その人たちが何かの責任をとった訳でもなく、ほとぼりが冷めると何事もなかったかのように言論活動を続けている事実を見逃さないようにすべきだ。
決して、「予想屋」に踊らされてはならない。
7月24日から8月9日にかけて、東京オリンピックが行われる。その前の7月5日に東京都知事選挙が行われる予定だが、れいわ新選組の山本太郎代表が立候補するのではないかと、与党自民党は戦々恐々だ。
ところが、それどころではない。昨年末から、大臣の辞任連発、「桜を見る会」の疑惑、そしてIRをめぐる汚職で現職国会議員の逮捕だ。安倍内閣の支持率は激下がり、不支持率が上回った。1月の通常国会で解散総選挙を断行し、一気に政局を打開しようとの目論見だったようだが、もはや政権は末期症状だ。この原稿が届くまで、安倍内閣が存続しているのかを心配しなければならない有様と化している。
増税推進派すら認めているように、8月にオリンピックが終われば、景気は劇的に悪くなるとの見通しだ。既に増税の悪影響は出始めているのだから、「増税の本格的な悪影響が出るのは1年後」との一般的な経験則に基づけば、「安倍内閣はオリンピックで終わり」がセオリーだったが、そこまで待ちきれない人がいるようだ。
安倍内閣の崩壊を望んでいるのは、創価学会・公明党か、財務省か、はたまた内閣法制局か。しかし、安倍内閣は選挙を創価学会に、予算と行政を財務省主計局に、そして立法を内閣法制局に依存してきた。彼らにとって、安倍内閣は「まったく怖くない」のだ。
◆安倍首相に代わる人物は、誰か。山下貴司、馬淵澄夫、山本太郎、そして渡辺喜美の四人か……?
ならば、一刻も早く安倍内閣を潰したがっているのは誰か。
ズバリ、検察庁であると読む。
日本の刑事裁判は、99.9%の有罪率を誇る。つまり、検察官に起訴されたら、無罪で助かるのは1000人に1人なのだ。日本の裁判官は、真面目に裁判をやっていないと言い切っても、何の問題もない。現実に司法権を掌握しているのは、検察庁なのである。
ただし、日常的に動いている立法や行政と違い、司法は事件が起きた時にだけ権力を振るう。ただ、裁判所は持ち込まれた事件を審査するだけだが、事件を裁判にする、すなわち起訴の権限は検察だけにある。これを起訴独占主義と言う。そして、事件を起訴しない権限もある。これを起訴便宜主義と言う。たとえば微罪の場合や、裁判で明らかに勝ち目がない場合は、警察が逮捕した容疑者を起訴しない場合もある。だが、これを悪用すれば、恐るべき権力と化す。起訴猶予だ。
明治以来、検察は独占していた起訴という武器を使って、政治との微妙な関係を続けてきた。
ところが安倍内閣7年では、検察の出番は無かった。それどころか、内閣人事局により、検察人事に安倍内閣が介入を繰り返しているとも聞く。それが本当だとすると、内閣法制局や財務省は首相官邸の介入を蹴散らしているのに比べ、屈辱的な地位に貶められたと評する外ない。
ならば、検察が安倍内閣倒閣に走ってもおかしくあるまい。
では、安倍首相に代わる人物は、誰がいるだろうか。最右翼だった、菅官房長官は、一連の醜聞への対応で急落している。
では、石破茂は抵抗が強いから、派閥の領袖級だと岸田文雄か。あるいは、本人がその気になりさえすれば、麻生太郎の返り咲きか。
しかし、いずれにしても、今の自民党に日本を率いる識見と胆力のある人はいない。そんな人はいても、浮かび上がれない政党に堕してしまったのだ。人物だけならば、山下貴司前法相は「掃き溜めに鶴」のような立派な政治家だが、弱小派閥の石破派の若手では、現実には後継候補たりえまい。
主要野党は絶望的で、ここで字数を費やす意味が無い。
ただ、イデオロギー抜きで「茨の道を歩んでいる」という基準ならば、三人あげられる。馬淵澄夫、山本太郎、そして渡辺喜美である。いずれも大政党で生きる道を捨てて、苦しい道を歩んでいる。また、経済政策への識見も確かだ。
さて、今年の日本は地獄が来そうだ。内憂外患が予想される。
情報を取捨選択し、正しく分析・評価し、自分の生活に生かしたいものだ。あらゆる学びは自分の人生のためにあるのだから。
【倉山 満】
憲政史研究家 ’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。現在、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を行っている。ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』など著書多数。最新著書に『13歳からの「くにまもり」』
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