公判中の被告が保釈後に行方不明、1年間審理できず 名古屋地裁

名古屋地裁で公判中の被告が保釈後に行方不明になり、約1年間、審理ができなくなっていることが12日、同地裁などへの取材で判明した。被告は覚せい剤取締法違反(使用)などの罪で起訴された愛知県小牧市の無職の女。名古屋地検などが行方を追っており、地裁は既に保釈を取り消している。
地裁によると、被告の女は昨年7月の初公判、同9月の第2回公判に出廷したが、今年2月の第3回公判に来なかった。地検などが捜したが見つからず、弁護士も所在を確認できていない。起訴状によると、女は2017年11月、現金約12万円を盗まれたものと知りながら無償で譲り受け、18年5月には名古屋市内で覚醒剤を使用したなどとしている。
刑事訴訟法によると、保釈の可否は、被告側から保釈請求を受けた裁判官が逃亡や証拠隠滅の可能性を検討し、検察官の意見を聞いて決める。認められた場合、犯罪の性質や保有資産を考慮して額が決まる保釈保証金を納付しなければならない。裁判終了後に返還されるが、逃走や出廷しない時は全部または一部が没収される。保釈中の逃走は罪にはならない。【川瀬慎一朗】