化粧品メーカーのフローフシ(本社・東京都港区)が2020年1月7日、韓国への輸出品から放射性物質が検出されたとして商品回収が決まったことを受け、「遺憾」であるとの声明を発表した。過去、日本の検査で「一切問題がないとの結果」が出ていると、安全性が担保されていることを説明している。日本で当該商品を回収する予定はないという。
発表によると、フローフシは韓国で異議申し立てを申請している。J-CASTニュースの取材に同社は、韓国でもこれまで放射線に関する検査を受けて「嫌疑なし」と判断されてきたと説明。今回の商品回収に関し、韓国の機関に正確な情報開示を求めていることを明かした。
韓国の国家機関「食品医薬品安全処」(以下、食薬処)は7日、韓国で輸入販売しているフローフシの人気コスメティック商品「モテマスカラ」3品目と「モテライナー」7品目の計10品目(以下、当該商品)から、放射性物質のトリウムとウランが検出されたと発表した。当該商品は販売を中止し、回収措置を取るとしている。
発表によると、これらの放射性物質は化粧品への使用が禁止されている。一方で検出されたのは、韓国の「生活周辺放射線安全管理法」に基づく被ばく放射線量の安全基準である「年間1ミリシーベルト」を大きく下回る水準だったという。
中央日報など複数の韓国メディアは7~8日、こうした発表を報道。東亜日報(日本語版)は、人体への安全性について「放射性物質は極めて少量検出されて、既存の使用者の被曝の危険はない」という食薬処の関係者談を掲載した。
事態を受け、フローフシは7日、自社ブランド「UZU」(旧・FLOWFUSHI)の公式サイト内で声明を発表した。「韓国で旧FLOWFUSHI製品のモテマスカラとモテライナーの一部ロットから放射性物質が検出されたとの報道がありました」として、次のように再検査を行うことを説明した。
フローフシは、報じられた商品を含む同社商品について、
と安全性が認められていることも説明。そのうえで、
と対応を取っていることも明かした。なお「日本で当該製品を回収する予定はありません」としている。
先述した韓国の「生活周辺放射線安全管理法」については、19年7月に改正されたことを複数の韓国メディアが当時報じていた。化粧品や衣服など体に密着する製品に、トリウムやウランといった放射性物質を使用することを禁止したとしている。
背景にあるのは18年5月に起きた「ラドンベッド騒動」。寝具メーカー「テジンベッド」製のマットレスから基準値を超える量の放射性物質ラドンが検出され、大量リコールが起きたことで、工業製品における放射性物質の規制強化が進むことになったという。
フローフシは上記の発表文で、当該商品について「一切問題がない」としているが、日本の法律で「問題がない」一方で韓国の法律に違反していた可能性はないのだろうか。同社は14日、J-CASTニュースの取材に応じ、下記のとおり回答を寄せた。
また、発表文にある「異議申し立て」について、申請機関や異議の内容など詳細も説明。次のとおり、韓国で放射線検査を2度受けて嫌疑なしと判断されていること、今回の回収にあたり検査方法などの情報を受けていないことを明かした。
フローフシは、今回の事態に対する認識を次のとおり示している。
農林水産省が公式サイトで公開している「放射性物質の基礎知識」では、「大地には、ウラン238、トリウム232、カリウム40などの天然の放射性物質が含まれています。これらは、約46億年前に地球ができたときから存在しています」と説明している。
フローフシは当該商品を韓国国内で再販する可能性について、「今は1人1人のお客様に対して、誠心誠意対応することが大切なので、再販についてはまだ考えられません。今後、弁護士や専門家、業界団体と協議を重ねた上で、極めて慎重に検討したいと考えております」と回答した。