77万年前の地球の声、聞きに来て 「チバニアン」命名に地元歓喜 千葉・市原市

77万年前の地球の声を聞きに、ここへ来て――。千葉県市原市田淵の養老川流域の地層を根拠に地球史の一時代が「チバニアン(ラテン語で千葉時代)」と命名され、地元では、地域振興につながると期待する声や、子どもたちが誇りに感じてくれたらと願う声が広がった。【上遠野健一】
命名の知らせが届いた17日、市原市役所には「祝チバニアン決定」と書かれた垂れ幕が掲げられ、小出譲治市長と林充教育長がくす玉を割った。小出市長は記者会見で「研究チームの努力と地元の皆様に感謝する」と語った。
同市は2017年に地磁気逆転地層保存活用検討委員会を設置し、地層一帯の土地の市有地化などに取り組んできた。一帯を観光資源とする整備基本計画を21年秋までにまとめ、ガイダンス施設を建設し、新たな観光拠点とする予定だ。今年3月には民間によるツアーバスの試験運行も予定されている。
地層のある田淵地区では、住民たちが地層を見学できる河岸に続く遊歩道の整備に取り組んできた。草刈り作業をきっかけに地質学者らを講師に招いて講座を重ねるようになり、地層の成り立ちなどについて自分たちで解説できるほどの知識を身につけた。現在は現地を案内するガイド養成講座に発展しており、約20人のガイドが誕生。19年12月に開所した仮設ガイダンス施設「チバニアンビジターセンター」を拠点に活動している。地層の保全活動やガイド養成講座の運営を担当する石井あゆみさん(62)は「地層は過疎に暮らす人たちが前向きになれる地域の誇りです」と喜んだ。
同市教育委員会は19年秋、小中学生向けの冊子「田淵地磁気逆転地層の秘密」(A4判)を約2万部発行し、市内の小中学校に配布した。漫画や写真を使い、養老川の河床で約77万年前の海の貝の化石が発見され、河岸の地層は地磁気逆転を示す痕跡となっていることなどを解説している。命名を受け、近く改訂版を発行するという。
冊子の編集に携わった森山秀治指導主事(41)は今月15日に同市立鶴舞、内田両小の児童計26人を現地に案内した。森山指導主事は「子どもたちが地学への興味と関心を高め、古里への誇りと愛着を深めてほしい」と期待を寄せた。
森田知事「県民の新たな誇り」
チバニアン命名を受けて、県は今年度中に県内の小中高、特別支援学校の全校に、チバニアンや地磁気逆転について解説するポスターを配布する。小学生用と中高生用の2種類を用意し、県のホームページにも子ども向けの特設ページを開設する。
県文化財課の担当者は「チバニアンを通じて地質学などへの興味や関心を持ってほしい」と期待している。
森田健作知事は「世界中で使われる地質時代の一つに千葉時代を意味するチバニアンが加わった。その根拠となる地層が本県にあり、観察しやすい場所にあるということは、県民の新たな誇りとなるとともに、千葉の魅力を世界に向けて発信できる絶好の機会ともなり、大変うれしく思う。関係者の皆様の苦労に敬意を表するとともに、本県の魅力として多くの方々に知っていただき、さまざまな形で活用されることを期待する」とコメントした。【宮本翔平】