賠償請求認めなかった1審判決「承服できません」 旧優生保護法控訴審で被害者訴え

旧優生保護法(1948~96年)に基づき10代で不妊手術されたとして、宮城県の60代と70代の女性2人が起こした国家賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が20日、仙台高裁(山本剛史裁判長)であった。原告の一人で飯塚淳子の名で被害を訴える70代女性はこの日の意見陳述で、「旧法のことも国が違法行為をしていたことも当時は知りませんでした」と語り、「(手術から)20年たったから賠償請求できないという1審判決には承服できません」と訴えた。
飯塚さんは事実上敗訴した昨年5月の仙台地裁判決後、「より気分がふさぐようになった」。妊娠できないことを理由に離婚され、悲しみや怒りからうつやPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、何度も死ぬことを考えた飯塚さんにとって、なぜ国の責任が問われないのか理解できないためだ。
不遇な生い立ちを背景に、民生委員から知的障害児の施設「小松島学園」(仙台市)に入所させられた。卒業後、知的障害者を預かる職親に連れて行かれた診療所で麻酔を打たれ、不妊手術されたのは16歳の時だった。
97年に父親から届いた手紙で、手術が旧法に基づいて行われたことを知った。それまで民生委員や職親を恨んでいたが、国策だったと分かり、国と闘う決意をした。「国が責任を認めないから、民生委員や職親への恨みが続き病状も悪化した」と訴える。
下腹部の痛みは今も続く。「国は裁判できちんと責任を認めてほしい」と願う。【遠藤大志】
原告弁護団「被害者の請求権は消滅していない」
仙台高裁(山本剛史裁判長)で始まった、旧優生保護法下の不妊手術被害に対する国家賠償請求訴訟の控訴審。不法行為から20年で損害賠償請求権が消えるとされる「除斥期間」などを理由に国の責任を否定した1審判決を受け、原告弁護団は「被害者の請求権は消滅していない」と争点化を図った。国は請求棄却を求めた。
原告側は20日、旧法施行当時、手術が適法だったことや国がだまして手術してよいと認めていたことから「被害者が不法性を客観的に認識できなかった」と主張。日本弁護士連合会が違憲性の見解を示した「2017年2月16日」から除斥期間を起算するよう求めた。「初めて損害の不法性が顕在化した」ためとしている。一方、国は起算点を「手術の実施時点」と主張した。
また原告側は、最高裁判例などをもとに「(仮に起算点が手術時だとしても)著しく正義・公平の理念に反する場合には除斥期間の適用が制限されるべきだ」と強調。国側は「加害者の行為で権利行使(損害賠償請求)が客観的に不可能となった場合に限られる」などとし、不妊手術は適用制限に当たらないとした。【遠藤大志】