電力自由化の契約変更の盲点を突いた、あくどい手口だ。
関西電力の社員を装って顧客に別会社との契約を結ばせたとして、京都府警は11日、営業代行業「Lavect」の副社長、仲田勇輝(22)と従業員の同志社大学の学生、前田純輝(21)両容疑者を特定商取引法違反(不実告知)の疑いで逮捕した。
「電力設備担当の〇〇と申します。今、お使いいただいているのは関西電力の電気でお間違いないですね。さらに別で3~5%下げさせていただいてます。費用がかかったり、工事や解約は一切ありません。プランだけ変わります」
仲田容疑者らはこんな「トークマニュアル」を作成し、勧誘を続けていたが、実際は一定期間使い続けると、料金がハネ上がる仕組みになっていた。
「電力会社の変更は『携帯電話のナンバーポータビリティー』と違い、新規契約先が本人に代わって関電に顧客番号などを伝えれば、契約が解除され、切り替わる。仲田容疑者の会社は電力会社『エレトス』いう代理店から委託業務を受けとったんやが、そんな会社、誰も知らん。しかも『新規契約』とか言うたら『面倒くさいわ』と相手にしてもらわれへんから、『関電』『プラン変更』いうキーワードを使って、昨年11月以降、約7000件近い契約を結ばせとったんや」(捜査事情通)
仲田容疑者は大学時代からイベントの企画・運営を行い、4年時に会社を起業。2人は大阪市内の公立高、同志社大の先輩後輩で、従業員約50人の大半は口コミで集まった大学生。皆、出来高制の個人事業主で、契約件数に応じて1件当たり2000~3000円の報酬が支払われていた。
「仲田容疑者らは顧客とのやりとりや営業の実践風景を動画で撮影し、LINEで送って共有しとった。お互いチェックし、『オレやったらこういうケースはこんなふうにやるわ』と意見交換しながら営業力を磨いとったんや」(前出の捜査事情通)
逮捕されることまでは想定していなかったか。