形骸化が懸念される百条委員会 背任事件どう裁く

岡山県赤磐市で昨年11月、必要のない臨時職員を雇って計76万円の賃金を支払い、市に損害を与えたとして市保健福祉部参与が背任罪で略式起訴され、罰金50万円の略式命令を受けた事件があった。この事件をめぐり、同市議会は調査特別委員会(百条委員会)を設置。責任追及に期待がかかるが、近年は百条委が軽視される風潮もあり、行方が注目される。
「根底の究明が責務」
「ご心配とご迷惑をおかけしていることをおわびいたします。一番元の、根の底にあるものが何なのか究明することが責務だと思っており、最大限協力をさせていただきたい」。1月15日に開かれた赤磐市議会の百条委で、前田正之副市長が陳謝した。
起訴状などによると、市保健福祉部参与は市教育委員会教育次長だった平成30年6月下旬ごろ、市教委の教育総務課長と給食センター所長と共謀し、業務に従事させるつもりはなかったのに給食配送の予備運転手として70代男性を雇用。同年6月~昨年3月、男性の口座に10回にわたり計76万円を振り込み、市に損害を与えたとしている。
市教委では30年5月から31年3月までスクールバスや給食配送車の運転手として臨時職員7人を雇用していたが、このうちの1人が70代男性だった。
実は百条委の設置は、一度頓挫していた。
事件は、金を受け取っていた男性が昨年2月、返還を市に申し出たことで発覚した。その年の9月議会で百条委設置が提案されたが、賛成8、反対9の反対多数で否決されたのだ。反対議員らの意見は主に「警察の捜査が進められており任せるべきだ」とするものだった。
だが、世論は収まらなかった。議会による地域での活動報告会では「反対議員に対してテーブルをたたいて怒る市民もいた」(女性市議)という。そして、11月に市保健福祉部参与が逮捕されたことが決定打となり、12月の本会議で百条委設置が決まった。百条委では、男性の雇用について市議の1人が関与した疑いがあるとして、調査対象に含まれた。
真相は解明されるか
ただ、百条委が設置されても、真相究明が約束されたわけではない。それは過去の歴史が証明している。
赤磐市では市制施行の平成17年以降で2回、百条委が設置されている。平成22年、市が男性市議所有の土地を必要がないのに購入したなどとして、購入に至る経緯などの究明のため百条委を設置。元市長と男性市議に出頭請求があったが、いずれも「捜査に重大な影響が生じる」などを理由に拒否し、百条委は最終報告をまとめたものの2人の出頭はなかった。
27年には、市制10周年の記念事業で誘致した映画をめぐり、協賛金の集め方に問題があるなどとして、百条委が設置され、友実武則市長の参考人招致や市幹部の証人喚問などが行われた。だが、決定打を欠いたまま「調査は尽くされた」と百条委の廃止が発議され、廃止が決まった。最終報告は行われず、当時の百条委委員長は「思いがけぬ形の打ち切りで、理不尽さを感じる」と述べた。
問われる存在意義
百条委をめぐっては、関連政治団体の政治資金収支報告書に虚偽記入や不記載があったとして、政治資金規正法違反の罪で略式起訴された堺市の竹山修身前市長が、選挙資金問題を追及する同市議会の百条委の証人尋問になかなか出頭せず、百条委の存在意義が問われる事態に陥ったのも、記憶に新しい。
地方自治法に基づく百条委は強い調査権限を持ち、正当な理由なく出頭を拒否した場合などは告発するよう規定。禁錮6月以下か10万円以下の罰金が科されるが、近年は罰則規定が機能していない状況も散見され、百条委の形骸化が懸念されている。
市制史上3度目という赤磐市の百条委は、制度が期待するような結果を出すことができるだろうか。