閣僚の「政治とカネ」、カジノ汚職、「桜を見る会」問題と安倍政権の疑惑が続出する中、通常国会が20日開会した。中でも安倍首相自身に疑惑が直結する「桜」問題は突っ込みどころ満載。菅官房長官は文書のズサンな管理方法の違法性を認めながら、「問題は民主党政権から続いていた」と責任転嫁していたが、このトンデモ言い訳を裏で編み出したのは、菅氏の“懐刀”の官邸官僚とみられている。
菅氏は「桜」の招待者名簿を巡って、公文書管理法で義務付けられている「管理簿」への記載がなかったことについて「違法状態」と認めつつ、民主党政権の2011年から違法な取り扱いが「漫然と引き継がれていた」と発言。しかし、民主党政権時の11、12年は、東日本大震災と、北朝鮮のミサイル発射予告を受けたことから「桜の会」は中止されている。
旧民主党所属の議員が、「中止された際の名簿はいわゆる『招待予定者名簿』。安倍政権が管理簿への記載を怠った『招待者名簿』とは別物」と憤るのも当然だ。民主党政権時に一度だけ開催された2010年分の招待者名簿は管理簿にしっかり記載されている。さらに、当時の名簿が廃棄されたのは5年後の15年2月のこと。「遅滞なく廃棄」した安倍政権とは、名簿の扱いは雲泥の差。菅氏の責任転嫁は見当違いの“言い訳”なのだ。
実は、このトンデモ言い訳をひねり出したのが、菅側近の笹川武内閣府官房審議官ではないか、とみられている。笹川氏は07年9月に内閣府国際平和協力本部事務局参事官、09年7月には内閣官房参事官を歴任。その後、民主党政権時の12年と、自民党政権発足後の13年、内閣府参事官として「桜」の招待者名簿のとりまとめに携わった。
民主党政権時の「名簿」取り扱いを熟知するキーマン
つまり、民主党時代と自民党時代の名簿の取り扱いを熟知するキーマンということ。19年7月には、内閣府官房審議官に就任。菅氏の事務取り扱い担当の秘書官を務めている。現在はバリバリの「菅側近」というわけだ。
そんな笹川氏は過去にも官邸を守った“実績”がある。加計学園問題の時のことだ。
学園の獣医学部新設に先駆け、立地自治体の愛媛県職員らと柳瀬唯夫首相秘書官(当時)との面会予定が記されたメールが、内閣府から文科省に送信されていたことが発覚。文科省はメールの存在を認めたものの、内閣府は最後まで否定した。
問題発覚後の18年4月、野党合同ヒアリングで「メールは本物か」と問われた内閣府担当の笹川氏は、「必ずしもそうではない」「メールの実物が確認できたわけではない」と曖昧答弁。立地自治体と官邸の接触を否定し切った張本人なのだ。
桜疑惑でも「不自然すぎる言い訳」を菅氏に“ご注進”したのは笹川氏か――。野党は今月17日の追及本部で現在の内閣府担当に質問。「秘書官が『民主党時代のせいにできる情報』を官邸に上げたのではないか」と問われると、担当者は「プロセスについては控える」と、肯定も否定もしなかったから何とも意味深だ。
加計問題では柳瀬氏に加え、和泉洋人首相補佐官が裏で学部新設を牽引したことが明らかになった。森友問題では、佐川宣寿前国税庁長官が疑惑発覚後、学園理事長に「10日間身を隠せ」と指示したとされる。安倍政権下では重大疑惑の裏で官僚の“暗躍”が当たり前になっているが、「桜疑惑」でもしかりだ。うごめく官邸官僚の所業を見逃してはいけない。