ゴーン問題、法務省「Q&A」はツッコミどころ満載「実態が伴わない制度説明ばかり」

日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告人が国外逃亡する前に長期勾留されていたことが、国際的な批判にさらされていることを受けて、法務省は1月21日、「Q&A」で反論する解説をホームページに掲載した。 この「Q&A」で、全部で14ある。たとえば「日本の刑事司法は『人質司法』ではないですか」という質問に対して、「日本の刑事司法制度は、身柄拘束によって自白を強要するものとはなっておらず、『人質司法』との批判は当たりません」としている。 この「Q&A」をどう見るのか。刑事事件にくわしい神尾尊礼弁護士に聞いた。 ●「制度」の説明がメインで「実態」の説明になっていない部分も 今回の「Q&A」は、一言でいえば「刑事司法『制度』の説明」がメインになっており、「刑事司法の『実態』の説明」にはなっていないところが散見されます。「人質司法」との批判に対して、いくら制度が整っていると主張したところで、実態が伴っていなければ反論になりません。 そこで、実態としてどうなのかという点について、刑事手続きの流れ(事件が起きる→捜査する→裁判所に起訴する→裁判を開く→判決が出る)に沿って、説明していきます。 ●捜査段階:逮捕に関する裁判官の審査は「形式的」 Q1:日本では逮捕・勾留に当たり、どのような要件があり、誰が判断するのですか。(以下、太字はすべて「Q&A」より) 捜査段階で、犯人と疑われている人を拘束する制度が逮捕であり、(被疑者)勾留です。法務省の回答にあるとおり、拘束できるか判断するのは裁判官ですし、拘束できる要件も限定されています(「Q&A(以下略)」A1)。 ただ実際は、逮捕に関する裁判官の審査は形式的といわざるを得ません。ほぼフリーパスで逮捕が認められているのが現状です。 当番弁護や被疑者段階での国選弁護の拡大で、勾留段階では一定の歯止めが効きつつありますが、それでも勾留は広範に認められています。 特に否認事件(捜査機関がそうだと疑っているものと言い分が一部でも食い違いがある事件と考えていただくのが正確です)では、この傾向は顕著です。逃亡や証拠隠滅をしそうだと簡単に判断され、身柄拘束が安易に認められるケースが散見されます。 ●捜査段階:否認事件における「身柄拘束の期間」は長くなりやすい Q4:日本では、長期の身柄拘束が行われているのではないですか。 勾留される期間は10日で、例外的に延長される仕組みになっています(A1、A4)。
日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告人が国外逃亡する前に長期勾留されていたことが、国際的な批判にさらされていることを受けて、法務省は1月21日、「Q&A」で反論する解説をホームページに掲載した。
この「Q&A」で、全部で14ある。たとえば「日本の刑事司法は『人質司法』ではないですか」という質問に対して、「日本の刑事司法制度は、身柄拘束によって自白を強要するものとはなっておらず、『人質司法』との批判は当たりません」としている。
この「Q&A」をどう見るのか。刑事事件にくわしい神尾尊礼弁護士に聞いた。
今回の「Q&A」は、一言でいえば「刑事司法『制度』の説明」がメインになっており、「刑事司法の『実態』の説明」にはなっていないところが散見されます。「人質司法」との批判に対して、いくら制度が整っていると主張したところで、実態が伴っていなければ反論になりません。
そこで、実態としてどうなのかという点について、刑事手続きの流れ(事件が起きる→捜査する→裁判所に起訴する→裁判を開く→判決が出る)に沿って、説明していきます。
Q1:日本では逮捕・勾留に当たり、どのような要件があり、誰が判断するのですか。(以下、太字はすべて「Q&A」より)

捜査段階で、犯人と疑われている人を拘束する制度が逮捕であり、(被疑者)勾留です。法務省の回答にあるとおり、拘束できるか判断するのは裁判官ですし、拘束できる要件も限定されています(「Q&A(以下略)」A1)。
ただ実際は、逮捕に関する裁判官の審査は形式的といわざるを得ません。ほぼフリーパスで逮捕が認められているのが現状です。
当番弁護や被疑者段階での国選弁護の拡大で、勾留段階では一定の歯止めが効きつつありますが、それでも勾留は広範に認められています。
特に否認事件(捜査機関がそうだと疑っているものと言い分が一部でも食い違いがある事件と考えていただくのが正確です)では、この傾向は顕著です。逃亡や証拠隠滅をしそうだと簡単に判断され、身柄拘束が安易に認められるケースが散見されます。
Q4:日本では、長期の身柄拘束が行われているのではないですか。

勾留される期間は10日で、例外的に延長される仕組みになっています(A1、A4)。