児童一時保護所、4割研修せず 行動観察・記録、国指針なく 70自治体調査

児童相談所(児相)を設置する全国70自治体のうち4割強が、虐待に遭うなどした子どもを保護する一時保護所の児童指導員や保育士に対して、子どもの行動観察とその記録方法についての研修を行っていないことが毎日新聞の調査で判明した。国は一時保護所職員の研修の内容や時間数について定めておらず、自治体間で対応にばらつきがあることが浮き彫りになった。
毎日新聞は2019年12月~今年1月、児相を設置する47都道府県、20政令市、3中核市に研修の内容や時間数などについてアンケート形式で尋ね、全ての自治体から回答を得た。
19年1月24日に千葉県野田市で小学4年、栗原心愛(みあ)さん(当時10歳)が親から虐待を受け死亡した事件では児相が一時保護を約1カ月半で解除し、親族の元に帰された。
一時保護所で生活する子どもについて児童指導員や保育士が行う行動観察とその記録は、一時保護を継続するかどうかなどの支援方針を決める重要な判断材料になる。しかし、県検証委員会の報告書によると、女児については行動観察の記載がなく、観察記録などをもとに支援方針を判定する会議も開かれていなかった。県内の児相関係者は取材に対して「職員への研修が十分ではなく、行動観察が形式的だったり職員の意見が軽視されたりした可能性がある」と指摘する。
調査では、自治体が行う研修に行動観察やその記録の方法が入っていないと答えた自治体が32(45・7%)に上った。このうち11自治体は行動観察以外も含め研修そのものを実施していないという。秋田県は「業務を通じて教えるので特段の研修はない」、宮崎県は「教員や保育士などの有資格者が多く、研修に参加する時間の確保も難しい」と理由を説明している。
一方、行動観察を盛り込む研修を実施している大阪府は「研修は配属から1年間に15時間以上。行動観察記録の研修は年度当初に実施」、愛知県は「研修は年8回計10時間程度。職員のニーズなどをもとに体系化を図っている」としており、自治体間の対応や意識の差は大きい。
厚生労働省によると、16年の児童福祉法改正により児相で相談・支援に当たる児童福祉司には研修が義務化され、内容や時間数も定められた。しかし、一時保護所職員である児童指導員や保育士は義務化されず、研修は各自治体に委ねられている。厚労省は取材に「専門性がより必要な職種の研修を義務化した」と説明している。【町野幸】