埼玉県秩父市の養豚場で飼育されていた豚が豚コレラに感染していたことが判明し、県は14日、殺処分や消毒など封じ込めの対応に追われた。県内では約85戸の養豚農家が約9万頭を飼育しており、「ついに来た」などと不安の声が上がっている。
この養豚場では753頭が飼育されており、県は13日午後から夜通しで殺処分を進めた。16日まで清掃や消毒を行う。また養豚場に通じる道路には消毒ポイントを設けた。さらに、この養豚場から半径10キロ以内を搬出制限区域に指定し、区域内にある2軒の養豚場から区域外への搬出を制限した。
豚コレラ感染について、県北部の別の養豚場経営者は「報道される前から(感染疑いの)情報が入っており、ついに来てしまったという感じだ。不安で仕方ない。養豚業者同士も接触を避けている」と話した。防護柵の設置など、豚コレラの運び屋とされる野生イノシシへの対策については「どこにいるかも分からないイノシシに対して、どれだけ効果があるのか」と疑問を呈する。
県内の別の養豚業者の男性は「発生が予想以上に早かった。ワクチン接種の実施を切に願っている。ずっと不安を抱えたままで(精神的に)まいっている業者の話も聞こえてくる」と打ち明けた。
関東財務局は14日、県銀行協会など県内金融機関の業界団体に対し、養豚農家や関連企業に向けて適切な融資対応に努めるよう文書で要請した。【古賀三男、畠山嵩】