大津市であったボートレースで意図的に順位を落として報酬を授受したとする八百長事件で、名古屋地検特捜部は28日、別の18レースでも八百長をして現金計3425万円を授受したとして、元ボートレーサーの西川昌希容疑者(29)=住所不定=と、親族の会社員、増川遵容疑者(53)=津市=をモーターボート競走法違反(贈・収賄、不正競走)の容疑で再逮捕した。
【図解でわかりやすく】ボートレース八百長の流れ
再逮捕容疑は2019年1月22日から9月21日にかけ、全国10カ所のモーターボート競走場で開かれた計18レースで、西川容疑者を1~3着に含まない3連単の舟券を増川容疑者が購入した際は4着以下に、2着か3着に入る舟券を購入した際は2着か3着になるようゴールし、レース後に増川容疑者が西川容疑者に計3425万円を渡したとしている。
特捜部によると、大津市のレースと同様、西川容疑者はスマートフォンを競走場に不正に持ち込み、レース直前に増川容疑者と連絡を取り合っていたという。報酬は1レース当たり数十万~数百万円で、山口県と愛知県の競走場では1日に2レースで八百長をしていたとした。また、18レース中10レースが第1号艇で、レースに有利な内側コースを悪用して意図的に順位を下げていたとみられる。
関係者によると、2人は16年ごろから各地のレースで不正を繰り返し、増川容疑者の口座には19年9月までに数億円の入金記録があったという。
特捜部はこの日、大津市であったレースで八百長をし300万円を授受したとして、2人を同法違反で起訴した。
再逮捕を受け、競技運営団体の日本モーターボート競走会(東京)は「事件の全容が一刻も早く解明されるよう、引き続き全面的に捜査に協力する。再発防止に全力で取り組んでまいりたい」とコメントした。【川瀬慎一朗】