岡山・新見市集中豪雨 国の支援制度受けられず不安の声

今月3日に集中豪雨に見舞われた岡山県新見市は、土砂崩れや用水路の氾濫などで市街を中心に約250棟が浸水被害を受けた。ボランティアなどの復旧作業が進む一方、局地的な被害のため、大規模被害を想定した国の支援制度の適用は受けられない。住民からは生活再建への不安の声が上がり始めている。【林田奈々】
山に囲まれた新見市中心部は、周囲の雨水が流れ込み、土砂崩れで家屋が高さ1メートル以上のがれきに埋まったり、用水路からあふれた水が家の中に入り、泥を堆積(たいせき)させたりといった被害が相次いだ。この週末も各地からボランティアが駆けつけ、泥や土砂は取り除かれつつあるが、家屋の被害は深刻で、住民は不自由な暮らしを強いられている。
自宅と、すぐ隣で営む飲食店が床上30センチまで水に浸かった男性(65)は、近く店を再開する予定だが、母屋の1階は床板をはがした状態のままで、2階に寝起きしている。「すでに店の電気製品の買い替えで100万円くらい出費している。母屋も直すとしたら300万から400万円くらいいくのではないか」とため息をついた。
床上20センチの浸水被害を受け、2階での生活を余儀なくされている会社員女性(46)は、これから親族宅へ身を寄せる予定だという。「被害の規模が小さいからあまり知られていないのかもしれないが、(他の災害と)同じ支援を受けたい」と吐露した。
昨年7月の西日本豪雨では、住宅が全壊するなどした世帯に最大300万円が支給される被災者生活再建支援金や住宅の修理費を支給する制度などが適用された。しかし岡山県などによると、今回は全体の被害規模が適用基準に達しておらず、こうした国の制度を使うのは難しいという。
現地で被災者の支援を続ける大山知康弁護士(岡山弁護士会)は「災害に大きい小さいはない。局所的だからといって制度が使えないのはおかしい」と指摘する。そして「いずれこうした制度のあり方は改善しなければならないが、現状では、民間からの支援が重要だ。多くの人が新見に目を向け、できる方法で支援をしてほしい」と訴える。
新見市は被災者に配分される義援金を募集している他、ふるさと納税による支援も受け付けている。公益財団法人「みんなでつくる財団おかやま」は被災地を支援する団体などを助成する「にいみ復興基金」を立ち上げ、寄付を募っている。問い合わせは086・239・0329へ。