大阪府の吉村洋文知事は3日、新型肺炎の拡大を防ぐため、検査対象者を国の基準より広げる考えを報道陣に明らかにした。吉村知事は「国の範囲は狭く、柔軟な対応ができていない」と述べ、武漢市のある湖北省への渡航歴や接触が無くても症状に応じて大阪府内の施設で検査するという。早ければ4日から運用を始める。
大阪府によると、国は検査範囲について、37・5度以上の発熱かつせきなどの呼吸器症状があり、2週間以内に湖北省に渡航歴がある、またはその条件を満たす人との接触歴があると定める。
大阪府では、保健所や医療機関で相談を受けた際、渡航歴や接触が無くても行動状況や症状に応じて保健所長が必要と判断すれば検査の対象にする。関西国際空港で働く人などを想定している。検査は、大阪市内の2カ所で公衆衛生に関する研究を行っている地方独立行政法人の大阪健康安全基盤研究所で行う予定。同研究所では1日40件の検査能力があるという。
また国の方針に合わせ、府内の18保健所に武漢市からの帰国者や、帰国者と接触した人向けの相談センターを設置する。
厚生労働省によると、1月末に感染が判明した奈良県在住のバス運転手や大阪市の女性ガイドは、本来の検査対象ではなく、現場の判断で検査が行われたという。同省結核感染症課は「検査の網が小さかったと反省している」としていた。【芝村侑美、道下寛子】