中国・武漢で発生した新型肺炎の感染拡大が止まらない。世界保健機関(WHO)も1月30日、ようやく「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言したが、あまりにも遅すぎる。翌日の衆院予算委員会で質問に立った、自民党の中山泰秀外交部会長を直撃した。
「いつまでもWHOから緊急事態宣言が出ないのを、世界中が『おかしい』と思っていた。日本政府側も『違うフェーズになかなか移せない』といらだっていた。これで日本の対応も加速する」
中山氏は語った。
WHOについては、テドロス・アダノム事務局長の出身国エチオピアが「超親中国」であることや、フランス紙による「中国による圧力」報道もあった。中山氏もツイッターで疑問を指摘していたが、今後、責任が問われそうだ。
中山氏は衆院予算委員会で、安倍晋三首相から、(1)新型肺炎を感染症法上の「指定感染症」とする政令の施行を予定より前倒しする(2)武漢からの帰国便は公費負担とする(3)指定感染症の指定に関し「入国しようとする者が感染症の場合、入国を拒否する」などの答弁を引き出した。
前向きだが、「パンデミック(感染爆発)」寸前という緊急事態だけに、「本当にそれで大丈夫なのか?」という懸念は残る。欧米の航空会社並みに、日本も「中国便を中止すべきでは」などと検討課題は多い。
外国人が日本国内で新型肺炎に感染した場合、日本側が公費負担すべきかという問題は、その一例だ。
中山氏は「日本の医療費を抑制するために、外国人が自前で加入している損害保険を活用できないか、といった発想が必要だ。国民の不安を取り除き、セキュリティー・ホール(安全性の抜け穴)を丁寧に埋めるのが政治家の務め。ウイルスとの戦いでは、『想像力』を働かせるのが重要だ。そのことをしっかりと考え、国民を挙げて対応すべきだ」と語った。(報道部・村上智博)