春節明けで13億人がUターン「新型肺炎」感染拡大“第2波”の恐怖

新型コロナウイルスによる肺炎拡大で延長された中国の春節連休が2日、終わった。春節中、帰省や旅行であちこちに移動した約13億人がこぞってUターン。さらに、故郷へ戻っていた中国人も日本へ戻ってくる。それで懸念されるのが、春節明けの集団感染だ。

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新型肺炎による中国本土の死者は361人、感染者は1万7205人(3日午前9時現在)。増加幅は日ごとに大きくなっている。フィリピンでは新型肺炎で男性(44)が死亡。中国以外での死者は初めてだ。WHO(世界保健機関)によると、感染者は27カ国・地域に広がり、全世界で1万4000人を超えた。

山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)はこう言う。

「感染症は集団化によってリスクが高まります。春節明けに学校や企業が通常通りに動き、日常生活が始まり、何の手も打たなければ感染拡大に拍車をかけかねない。日本でインフルエンザ流行シーズンに学級閉鎖や学校閉鎖を実施し、感染拡大を抑え込もうとするのはそうした理屈です。中国でも企業に対し、休業延長を9日まで指示している自治体が大半のようですから、適切な判断だといえます」

中国本土には31の省、直轄市、自治区があり、その約8割で休業延長などの指示が出されているという。新型肺炎の震源地となった武漢市を抱える湖北省は13日まで、北京市や上海市など主要都市では9日まで休業延長や在宅勤務となっている。

■各国は中国便運休で締め出し

一方、武漢市では、突貫工事で建設が進められていた「火神山医院」が完成し、きょうから診療開始。その大きさは東京ドームの約4分の3の面積に当たる約3・4万平方メートルで、最大1000床を備える予定だという。武漢では約7・5万平方メートル、約1500床の「雷神山医院」の建設も急ピッチで進む。

湖北省では検査試薬が不足し、実際の感染者は統計を大幅に上回っている可能性が指摘されている。

「日本政府はハッキリ言ってぶったるんでいる。対応が遅すぎます。感染者数はタイに次いで2番目に多い。感染が拡大すれば、外国人が訪日旅行を避けるだけでなく、日本人が米国に入国できなくなる可能性もある。このまま手をこまねいて09年の新型インフルエンザのように大流行したら、東京五輪までに抑え込むのは不可能です。今が勝負の分かれ目なのです。米国のように中国滞在歴のある外国人の入国を一時拒否した方がいい。過去14日以内の中国滞在が線引きで、米国籍でも入国時に14日間の隔離が義務付けられています」(中原英臣氏)

米国の航空会社は中国本土向け定期便の運航停止を相次ぎ決定。アメリカン航空は3月27日まで、ユナイテッド航空は3月末、デルタ航空は5月まで運休予定。ベトナム航空や仏エールフランスも全中国便を運休。豪カンタス航空も北京や上海との直行便を止め、北朝鮮の高麗航空も運休した。平たく言えば、中国人の締め出しだ。

安倍政権は世論の反発を受け、新型肺炎を「指定感染症」とする政令を前倒し施行したが、やり方はまだまだ手ぬるい。