徳島県で水揚げされる特産のハモの廃棄部分を利用した珍味で、かつて庶民の味として親しまれた「ハモ皮竹輪」を同県阿南市の缶詰メーカー「タカラ食品」が復活させた。近年、地元のかまぼこ業者が次々と廃業し、材料の入手先や作り手のいない「幻の珍味」となっていたというが、同社の持つ保存技術を活用して実現させた。今後、年間7000本の生産を目指す。
ハモは、淡泊な中に脂の乗ったうまみが特徴の高級魚。京都の夏の風物詩とされる湯引きが有名だが、徳島では骨切りの難しさなどから、伝統的に、すり身にしてかまぼこにする雑魚として扱われていたという。
阿南市では戦後の高度成長期の頃まで、身をはいで不要となった皮をたれに漬け込み、竹に巻いて焼いた甘辛い「ハモ皮竹輪」が庶民に親しまれていたとされる。しかし、冷蔵技術の発達と共に徳島で水揚げされるハモの多くが高級鮮魚として京阪神方面に出荷されるようになると、地元で皮の廃棄物が出なくなり、竹輪も姿を消した。
タカラ食品は山菜の缶詰や真空パックの販売を主に手がけてきたが、2019年夏に、当時取れ過ぎていたハモを受け入れたことをきっかけに研究を開始。同年秋、市内産のハモ皮を竹に丁寧に巻きつけた高級竹輪として発売し、製造時に出る身もつみれに加工して売り出した。
「60歳以上の人がみんな懐かしがって喜ぶのに驚いた」と同社の責任者、折野大器さん(40)。年明けから購入の問い合わせが殺到しているといい、「産地ならではの新しくて懐かしい名物。若い人にも知ってもらいたい」とPRする。
1本500円(税抜き)。問い合わせは同社(0884・22・1773)。【稲生陽】