児相職員が父親の暴行目撃、口頭注意のみで引き揚げる…「帰れ」とどなられ

福岡市で2人の子供に対する暴行容疑で両親が逮捕された事件で、市こども総合相談センター(児童相談所)の職員が自宅訪問した際、父親(29)が三男(5)を暴行する様子を目撃したにもかかわらず、口頭で注意しただけで引き揚げていたことが、市などへの取材で分かった。児相から翌日連絡を受けた福岡県警が子供たちを緊急保護し、その日のうちに両親を逮捕した。
県警の発表では、父親は1月30日、自宅で三男の顔を殴った疑い。母親(29)も同29日に自宅で、小学4年の長男(10)の顔に洗濯かごを投げつけた疑いで逮捕された。いずれも容疑を認めているという。
市こども緊急支援課や県警によると、長男が通う小学校から虐待に関する情報提供を受け、児相の職員が同30日、自宅を訪問。長男の顔にあった擦り傷について職員が尋ねたところ、長男は「自分で転んだ」と答えた。しかし、三男が「ママがやった」と話したことに父親が激高し、職員の前で三男を殴ったという。職員は父親を口頭で注意したが、父親から「帰れ」などとどなられ、そのまま家を出た。児相側から県警への連絡は翌日朝だった。
厚生労働省によると、虐待などの理由で子供を家庭から一時引き離す必要がある場合は、緊急保護を行うことができる。同課の久保健二課長は読売新聞の取材に、緊急保護などの対応を取らなかったことについて「事案を整理する必要があると判断した」と述べた。