雨漏り、水浸しの民家=「先のこと考えられない」―被災者、重なる心労・千葉

台風15号の影響で甚大な被害を受けた千葉県では16日、朝から昼すぎまで激しい雨が降った。屋根をブルーシートで覆うなどの対策を取ったが雨漏りを防げず、多くの家で床が水浸しに。「先のことを考える余裕はない」。被害発生から1週間がたつ中、被災者らは疲労の表情を浮かべた。
同県鋸南町の岩井袋地区に住む鉄鋼業の男性(63)は前日、ボランティアに自宅の屋根をブルーシートで覆ってもらったものの、雨漏りが発生。強い雨の中、修繕のため屋根に上ろうとして周囲から制止されていた。男性は「危ないけれど、やらないと家が傷んでしまう」と困り切った様子で話した。
同地区で役員を務める70代男性の家も、天井の大きな穴からブルーシートが丸見えの状態で、雨が流れ込んだ。「アパートを借りようとしても、都会みたいに家なんてない。先のことなんて考える余裕はないよ」と力なく話した。
「家を取り壊すかどうか、母に話せていない」。川崎市から実家の片付けに来た会社員男性(36)は、複雑な心境を漏らす。屋根が吹き飛んだ実家の建物は、雨で床が水浸しに。以前1人で住んでいた母親は老人ホームに入所し、空き家になっているが、母がショックを受けないか不安だという。
自宅の天井板が崩落した六原武さん(75)は「地区に直す家がいっぱいある。私の家はいつになるか」と、変わり果てた自宅を見詰めた。
大雨を受け役所でのボランティア受け入れは中止されたが、自己責任で被災者を手伝う人の姿も。東京都葛飾区の北岡明夫さん(60)は「雨で危険なのは分かるが、家の中でやれることはある」と話し、住民と協力して不要な家財を袋にまとめる作業を続けた。