■岩下の新生姜ミュージアム(栃木県栃木市)
ピンクでポップな空間が広がる。
岩下食品の看板商品「岩下の新生姜(しょうが)」のイメージカラー。新生姜の部屋、アルパカ広場、売店、カフェなど「インスタ映え」しそうな場所ばかりだが、とりわけジンジャー神社は「御利益がある」と人気だ。
「ツイートに社長も反応するので前から興味があった。面白い」。知人と訪れた栃木県鹿沼市の会社員松本まちこさん(25)はそう話した。
本殿も鳥居も柱は新生姜の色と形。鎮座するのは新生姜のこま鹿こと「IWASHIKA(イワシカ)」。この神社、ショウガ効果で夫婦や恋人の仲もポカポカアツアツに、だそうだ。
ミュージアムは元々、先代社長の所蔵品を展示する美術館だった。岩下和了(かずのり)社長(53)がプロモーション施設として2015年に開館。順調に客足は伸びて昨年8月には来館者が累計50万人に到達した。
日々「おいしい」とか「好きだ」とツイートしてくれる新生姜ファンの要望に応えて、恩返しもしたいという思いだった。岩下社長は11年からツイッター発信を本格的に始め、消費者と交流してきた。「岩下の新生姜」のハッシュタグが付いたコメントは今や日に500~1千件にまで増えたという。
出荷額で20年前の3分の2ほどに縮小した漬物市場への危機感も背景にあった。漬物の顧客の高齢化が進んでいる。ミュージアムは従来の漬物のイメージから距離を置くため、愛らしいキャラクターを並べ、ユニークで遊び心あふれたアトラクションをそろえている。
「食習慣は幼いころに作られる。子どもにも興味を持ってもらって新生姜を食べてもらわないと商品がすたれてしまう」
施設は若い女性を中心に人気が出て、性別や世代を超えて広まってきた。キャラクターグッズや雑貨などの製品のほか、企業とのコラボ商品も積極的に展開。ライブも頻繁に開く。
1987年から販売を始めた新生姜はテレビCMで広く知られるようになったが、開館後はCMをほとんど流していない。2015年が底だった新生姜の売り上げは毎年十数%伸び続けている。この施設とSNSの拡散効果が出ているという。
新企画を打ち出し、楽しい思い出を持ち帰ってくれれば新商品と同じ効果があると岩下社長は確信する。「貴重な時間を使ってもらうのだから笑顔で帰ってもらいたい」(中野渉)