宮城・村田町が「財政非常事態宣言」 再生団体転落のおそれ

宮城県村田町は14日、町の貯金に当たる財政調整基金が枯渇し赤字決算に至る可能性があるとして「財政非常事態宣言」を発令した。町税収入の減少と公債費の支出が主な原因で、この状況が続けば財政再生団体に転落するおそれがあるとしている。
町企画財政課によると、財政調整基金を毎年度取り崩した結果、2013年度に8億7400万円あった残高が、18年度は2億9500万円に減少。同年度の一般会計の歳出(決算額)は51億9537万円で、財政に占める負債返済額の割合を示し、低いほど健全とされる実質公債費比率は13・6%(19年11月現在)となった。ここ数年で減少したが、県内の市町村では最も高い。
財政難の要因について、同課は人口減による慢性的な町税収入の減少と、借金の返済に当たる公債費が支出を圧迫していると分析する。このため、財政の硬直性を示す経常収支比率は94・8%で、適正とされる70~80%を大幅に超えている。
赤字になっても直ちに財政再生団体に指定される可能性は低いが、転落した場合は財政編成が大幅に制限され、税金や各種手数料も引き上げられるおそれがある。
20年度の予算案は町議会の3月定例会前に発表する。同課は財政健全化に向けて職員の人件費削減や各種事業の見直しなどを検討する。大沼克巳町長は「20年度を財政改革元年と位置付け、より一層行政のスリム化を推進し、全職員一丸となって財政健全化に取り組む」とコメントした。【滝沢一誠】