横浜市緑区、講師の所属団体「共産党系」と判断、うその理由で依頼取り消し 「事実誤認」と謝罪

横浜市緑区が、2019年12月に開催した人権啓発講演会の講師として依頼した男性について、後になって「所属団体が共産党と関係があるのではないか」と判断し、依頼を取り消していた。区は取り消しにあたり、男性側に「ダブルブッキング(二重予約)だった」とうその理由を伝えていたが、事実誤認などがあったとして1月31日に団体や男性に謝罪した。
講演依頼を取り消されたのは、障害者が通う共同作業所などの全国組織「きょうされん」の専務理事で、障害者運動をリードしてきた藤井克徳さん。NPO法人「日本障害者協議会」代表なども務める。
区が講師を依頼したのは19年7月5日。その後、区総務課の係長がインターネットで「きょうされん」を検索したところ、関連語として「共産党」などが出てきた。三瓶一道副区長や担当課長らが参加した同11日の会議で、依頼取り消しを決めたという。
区は藤井さん側に取り消しの連絡をする際、「本当の理由を言いにくかった」(区担当者)として、取り消しに至った経緯を「ダブルブッキングだった」と説明した。だが、区によると、同時に別の講師の名前が挙がってはいたものの、正式な依頼には至っておらず、ダブルブッキングは事実ではなかった。
区は事実誤認があったとした上で、「中立性を過度に意識してしまった」として、1月31日に三瓶副区長らが、きょうされんを訪ね、謝罪した。
きょうされんの多田薫事務局長は「選挙で特定の政党を応援することなどは一切していない。いろいろな考え方が区民の中にもある中で、自由な発言を保障することが大切。行政の中立とはそうあるべきだ」と話した。
小野崎信之区長は「ご不快の念を抱かせることになりおわび申し上げる」とのコメントを出した。【樋口淳也】