「感染者の名前や住所教えて」「近所に中国人が居住」…自治体窓口に問い合わせ急増

新型コロナウイルスによる肺炎が拡大するなか、国内でも経路が不明な感染が広がり、自治体が設置した相談窓口への問い合わせが急増している。感染者の名前や住所といった個人情報を尋ねる電話もあり、自治体では対応に苦慮している。
「熱があったら受診してください」。和歌山県庁の会議室に設置された臨時相談窓口では、17日朝から電話が鳴り響き、保健師ら5人が対応に追われていた。
県内では13日以降、済生会有田病院(湯浅町)の医師や患者ら5人の感染が判明。それまで1日数件だった相談件数は14、15両日で200件と一気に増えた。
13日に都民の感染が初めて確認された東京都でも相談窓口への電話が増え、14日以降は1日300件前後に達している。同じく13日に20歳代の男性会社員の感染を発表した千葉県では、それまでの約2週間で1048件の相談があったが、14日以降はさらに相談件数が跳ね上がり、集計が追いつかない状態だという。
相談の多くは「発熱があるので病院を紹介してほしい」といった健康に関するものだが、患者の住所や、患者が通勤に使っていた電車を尋ねる電話もあるという。他にも「近所に中国人が住んでいるがどうしたらいいか」「マスクが売っていない」などの問い合わせもあるという。

政府が16日に開いた感染症専門家らによる会議では、受診・相談の目安として、〈1〉風邪の症状が長く続く〈2〉強いだるさがある〈3〉発熱がある〈4〉せきなどの呼吸器症状――などがたたき台として示された。政府は17日にも目安をつくる。