台風15号の直撃から1週間がたった千葉県は15日夜から16日にかけて、広い範囲で雨が降り続いた。ブルーシートを張って備えたものの、雨漏りがひどくて布団や畳が水浸しになる家が相次いだ。避難所で雨がやむのをただ待つしかできない住民も。消耗した住民たちに、雨が追い打ちをかけた。
自宅屋根の一部が吹き飛ばされた君津市の80歳代男性は屋根にブルーシートをかけて備えたが、隙間から雨水が漏れ出し、寝室が水浸しになった。公共施設への避難も考えたが、車が台風で壊れて使えず避難ができなかった。「雨が降っただけでこんなに大変になるとは思わなかった。自宅にいるのはつらいが、避難するのもしんどい」とうらめしそうに空を見上げた。
南房総市の海沿いにある富浦町地区の男性(80)は、台風で屋根瓦がほとんど飛ばされたが、ブルーシートをボランティアに張ってもらい、雨風をしのぐことができた。
ただ、雨脚は強くブルーシートが風で激しくなびくたびに不安げな表情に。「シートがはがれれば、瓦の下に敷いてある板に雨水が染み込んで雨漏りする。工事ができるまで穏やかな天候が続いてほしい」と被害が拡大しないよう願った。
16日午前中を中心に大雨に見舞われた館山市と南房総市は午前9時頃、土砂災害の危険性が高まったとして、計約2万3000世帯(約4万6000人)に避難勧告を出した。
南房総市の海沿いの集落で一人暮らしをする男性(70)は避難所での避難が続く。自宅は強風で平屋のトタン屋根が全て飛び、隣接する別棟の瓦もほとんど落下していた。「自宅は住める状態ではない。住む場所を早く見つけないといけないが、まだ行動する気力がない」と肩を落とした。
避難勧告が全域に出た館山市のウェストペニンシュラホテルでは16日、降り続く雨の対応に追われた。窓は台風で割れて雨水が入り込んでおり、従業員らはモップで排水作業を行った。
台風に続く追い打ちの雨は、復旧作業にも影響を及ぼした。同市では、陸上自衛隊や市内の建設業者などが破損した民家の屋根にブルーシートを張る作業を行っていたが、16日は屋根から足を滑らせて転落する危険があるため作業を取りやめた。
南房総市では、グラウンドなど3か所で災害ごみの受け入れを行っていたが、地面がぬかるむなどして車の乗り入れが困難になり、2か所で中止。ボランティアの活動を見合わせたり、屋内に限定したりする市町も相次いだ。
県社会福祉協議会によると、14~15日には18市町で延べ2533人を受け入れたのに対し、16日は385人にとどまったという。