2019年7月18日に京都市伏見区の「京都アニメーション」第1スタジオで放火殺人事件が起きてから7カ月が過ぎた。発生直後からの救急活動の詳細が京都市消防局への取材で分かった。出動指令は発生から翌朝まで19時間半にわたり、市内全域から救急隊や消防隊など計延べ111隊約400人が消火・救急活動に従事。救急隊を中心にトリアージを行うと同時に各病院とも連絡を取り合い、早期の搬送につなげた。
発生推定時刻は午前10時31分で、消防局は119番などで4分後の同35分に覚知。市内に設置している高所カメラにより、同39分にはかなり燃えていることが分かり、消防隊の増強を決めた。同40分に最初に到着した隊から「3階建ての建物が全面燃焼し、負傷者が複数いる」との情報が入った。
救急隊は同43分に到着してトリアージを開始。放水も始まり、同44分に現場指揮本部が設置された。火災が大規模で負傷者が多数いると分かり、指揮本部は部隊を大量に投入する「集団救急救助」が必要と判断。報告を受けた消防指令センターが各病院に専用電話を使って受け入れ可能人数の問い合わせを始めた。
同50分には市立病院敷地内の消防出張所から高度救急救護車と病院の医師1人が出動。同11時25分に到着し、現場での医師と消防の連携を図った。
負傷者から「建物内に約70人いた」との情報を入手し、逃げ遅れた人の救助活動を同10時55分に開始。空気ボンベの酸素容量や熱気などで活動は約10分が限界で、交代で進めた。 消火活動をしながら2、3階と捜索を進め、建物内で死亡した33人の運び出しを終えたのは午後9時12分だった。
一方、救急隊が現場に到着した時点で、負傷者は4カ所に分散して避難しており、約120メートル先の公園で発見された人もいた。トリアージでは意識の有無や歩行の可否などから分類し、「赤」(重症)▽「黄」(中等症)▽「緑」(軽症)――のタグを付けていった。
指揮本部は、各病院に照会していた受け入れ可能人数の情報を受け、トリアージの結果を基に重症者を優先して搬送先を選定。「赤」の10人は午前11時3分~午後0時1分に現場を出発、午前11時17分~午後0時23分に病院に収容された。「黄」の6人と「緑」の20人も同1時59分までに病院に向かった。
市立病院の医師が現場に向かっていたことや重症者の搬送も進んでいたことから、各病院に医師の派遣要請をしたのは午前11時20~30分ごろだった。
同消防局は取材に「火災と集団救急救助といういわば複合災害で、経験したことがなかった」と振り返るが、事件後の医師らの検証ではトリアージや搬送は適切にできたと評価されたという。熱傷患者が多かったため、現場での処置に時間をかけるよりも早期に搬送したという。【福富智】